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2007年1月31日 (水)

安藤広重・雨と松の大木

301_18  広重の版画は体系化すると、絶景斜景雨景・夜景・水景艶景活景吹景雪景富士見花見に区分けできるとは、赤瀬川原平さんの持論であります。この各体系のタイトルの呼称も見事でありますが、これを導き出したのは勿論、卓越した表現者・安藤広重のなせる技のたわものでしょう。

 近江の唐崎に降る夜の雨を表現した「近江八景之内 唐崎夜雨」と題されるこの版画は、一日中降りっぱなしのような強い雨を吸い込んで、大きく膨らんでしまったような松の木の表現が卓越しています。広重には雨を描いた傑作がたいへん多いのですが、これはその中でも一番と勝手に私が思い込んでいる一枚です。人物が描かれていないことも、静寂感を増幅してますし、夜景の暗さを広重ならではの飛躍力を以って、暗さを無視した暗さとして表現しています。

 もうここまでくると、一つの現代アートですし、人間の極限の想像力・創造力を駆使して辿りついた独創力に、凄みさえ潜んでいます。

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