満月に乾杯!『広重・月見の宴』
「東都名所 道灌山虫聞之図」と題された、広重の楽しくも穏やかな情景の作品です。江戸時代も円熟期を迎え、今のように旅行が大トレンドとなって、その殆どの大義はお伊勢参りだったようですから、その道行きはさぞ楽しかったに違いありません。それほど遠くに出かけなくとも江戸には各所渋い景勝地が点在していたようで、この道灌山も、今の西日暮里四丁目3・4・5・6・7番地に存在したジモティー御用達の絶景な小山だったようです。この日、一仕事終えて、仲間と満月三昧、「満月を肴にとりあえず、まあ・・・一杯!」といった男のいい加減な気性を上手く表していて、この絵を見る度に、私も男の優柔不断さに納得してしまうのであります。
また、道灌山周辺は、秋の虫が鳴くところとしても有名だったようで、子供が虫篭に鈴虫と思しきものを入れて喜んでいます。今でもこの時期、地方に行きますとと、しーんとした山や、森・畑からきれいな秋の虫の声が聞こえてきますが、それはとても気持ちの安らぐひと時です。この画題は『道灌山虫聞之図』となっていますが、画面の奥でお月さんを肴にした宴の方を画題に採り上げて貰いたかったですね・・・。
既に、都心ではなかなか味わえなくなってしまった日本の四季の移ろいこそが、日本人の卓越した感性の元素であることを忘れてはならぬようにと、最近、頓に思うのであります。
というわけで、『今宵の満月を願って・・・まあ・・・一杯!!!。』
『江戸時代、荒川周辺には景勝地が点在していました。』
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