おじいちゃんの封筒:紙の仕事
神前弘(1902~1997)さんは大工棟梁として活躍した後、引退して茶の間でのテレビ三昧に飽きたらず、家に届くちらし・新聞からティッシュの箱・振込用紙にいたるまで、手当たり次第、封筒製作に没頭しました。
お孫さんの藤井咲子さんがおじいさんの家の取壊しの際、荷物の引越を手伝って片付けの最中、偶然に箪笥の抽斗を開けると、凡そ5000枚もの封筒が詰まっていたということですからその執念たるや、普通の人でありながら、普通ではないのです。
作為のないただそこに美しい封筒があるだけなのですが、昨今のリサイクル・エコロジー・サスティナブルなどという難しい話との共通点があるものの、この神前弘さんの足跡の方が、一般の人には分かり易く伝わります。さらに、もったいないという意識以上に、アスリートのように毎日毎日同じことを繰り返した無心の念が、感動を呼ぶのでしょう。
この作為のない、ただひたすら作り続けた結果生まれた封筒を、千利休が唱えた侘び寂びの極意と無理やり結びつけようとする文化人の方もいて、その文化人と称する皆さんの観点は、世界からみれば摩訶不思議なもののひとつなのでしょうね・・・。
なお、現在千葉県のmuseum as it isで開かれている展覧会『おじいちゃんの封筒』に関して。 http://sakatakazumi.com/asitis/070316/
この展覧会を企画された小道具・坂田のサイトです。 http://sakatakazumi.com/
museum as it isの雰囲気を伝えるブログはこちらです。 http://blog.kahans.com/?eid=654082
| 固定リンク
コメント