パワフルな梅原龍三郎
梅原龍三郎(1888~1986)が1959年に描いた浅間山の威勢の良い風景画です。軽井沢の山荘から描いた紅葉の傑作で、70歳の頃とは思えないエネルギーに溢れています。空気が澄み渡り、寒さも増してくる秋の気配など関係なく、絵画性の高い日本人独自の境地に到達した美しさがあります。鮮やかな錦の中、点描の方向性が風の躍動を捉え、黒で描かれた樹木が画面を引き締めています。
中川一政をして「梅原の絵は王様の絵だ!」と言わしめ、芥川龍之介にいたっては「この人は一体何を食べているのだろう」と言わせたほど日本人離れした豪奢な豊かさをもった梅原龍三郎の絵画を、哲学的見地から訝しく感じる方も居られるようですが、元気を戴く絵画としては他の追従を許しませんから、ちょっと疲れたときなどは、薬代わりにもなる有難い作家なのです。
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