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2007年10月30日 (火)

クールな安井曽太郎

3_5 安井曽太郎(1888~1955)が亡くなる数日前まで絵筆を取った最後の作品で、自宅のある湯河原から望む城山を描いた一枚です。完成には至ってないのでしょうが、それがかえって「最後の作品」を印象づけています。梅原龍三郎と東京藝術大学時代からライバルと称されていましたが、梅原が豪奢で絢爛な絵画世界を自ら開拓していったのに対し、安井は最後まで師であったセザンヌの影響が見えてしまうところが本人も自覚していたに違いありません。

ずいぶん昔に、安井のアカデミー・ジュリアン留学時代に描かれた卒倒するばかりの素晴らしいデッサンを見る機会がありましたが、20歳前、既に素描力に対する姿勢と知識は当時誰もが到達出来ない境地に達していたことを知るにつれ、早熟であったが為の悩みも多かったに違いないことを確信しました。最後までアカデミズムの枠を超えることなく潔癖な性格そのものを画面に投影した安井の作品は日本の風土に根ざした様式美の完成であり、2_11 梅原の自由闊達な画面展開とは別物でありますが、この二人が異なった軌跡を歩んだからこそ、近代日本の絵画史の展開にふくらみが出る訳でもあります。

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