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2008年2月29日 (金)

蕎麦 田園調布・兵隊家

Img_8135 Img_8136 駒沢から自転車でお気軽な練習ルートは、何と言っても『多摩川堤』に違いありません。しかし、ただ走るだけならば、多摩川に沿って行ったり来たりを反復していれば宜しいのでしょうが、そこにちょっとした『おいしい愉しみ』を加味すると俄然自転車のルートが変わってきます。年のせいなのか、最近ではお腹一杯いただくことなど考えも及ばず、専ら、『ニッポンの正しい食の嗜み』に傾倒しています。

多摩川を下り帰路に着くルートは、何を食べて帰るか・・・で決まりますが、やはり田園調布・兵隊家 http://www.heitaiya.co.jp/ という摩訶不思議な屋号の蕎麦屋さんが王道でしょうか・・・。此処、田園調布から環状8号線を越えた自由が丘・奥沢にかけては、どういうわけか美味しい蕎麦屋が空洞地域のようで、この店は値段とその内容が『誠実商売の志』にあふれ、時間次第では大賑わいとなってしまいます。

私はこの店の『鳥南蛮蕎麦』がお気に入りです。昨今の多くの蕎麦屋に観られる、いい加減な鶏肉の数・適当な出汁とは天地の差のある味と量感は、正に絶品で、今の季節には自転車で冷え切った身体を柔らかく温めてくれます。又、女将さんは店員さんよりもお年を召しているにも関わらず、その動きと気配りは機敏で行き届き、その捌きは観ていて気持ちの良いものです。

所謂、『蕎麦通』の方々がわくわくするようなタイプの店ではないですが、正しいニッポンの食と商道を体感できるお店としてお奨めいたします。夕方からは、酒を嗜むお客さんも多く、その品書きも豊富ですから是非・・・。また、場所柄ご相席のお隣さんが何処かで見たような人である確立も極めて高いですから、俗人としてはこちらも愉しみなのです。

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2008年2月28日 (木)

1960年代のマーク・シンボル

Trade_mark_simbol820Trade_mark_simbol420Trade_mark_simbol1420   日本のグラフィック・デザインのTrade_mark_simbol320先駆けの偉業を成し遂げた亀倉雄策さんが、1965年に河出書房から出版した『世界のトレードマークとシンボル』に載せられた世界のマークを初めて見た時、その美しさと力強いかたちに感動しました。 世界のデザイナーから亀倉さんの所に集められた2000点以上の作品から763点に絞ったものが掲載されたのです。亀倉さんの独自の審美眼が「記号による同一性の認識は立派な世界語」という哲学を背景に、「鋭く・美しく・判り易く」のフィルターを通して、豊かな表情を持って生き生きと、そして、整然と並んでいます。「コーポレート・イメージの基礎はトレードマークから始まる」という確固たる考えを持った亀倉雄策氏だからこそ、成し得た、デザイン界の著書の横綱であります。

当時の価格で4,800円という価格のため、私はアルバイトの掛け持ちをして、この本を手に入れました。今も時々、本棚から出しては見ていますが、昨今のパソコンでいとも簡単に作れてしまう時代とは違い、烏口・コンパス・定規・そして本人の眼と考えから生み出されたこの時代のマークには、アナログの良さが凝縮しています。

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2008年2月27日 (水)

百瀬博教さんの遺したもの

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百瀬博教さんに初めてお会いしたのは、1996年頃(?)、日本橋三越で開かれた『スノードーム展』の時でした。この日は生活雑貨の商品企画の用事があって早朝から三越近辺に出向いていたので、開店と同時に会場に押しかけました。勿論一番客でしたから、そのことを百瀬さんはたいへん嬉しがってくださり、これがきっかけでその後鳥越祭りから上野・浅草散策に至るまで、私にそれまで知らなかった世界を見聞させていただきました。とりわけ、その繊細過ぎると思わんばかりの周囲への気配りなど、私にはまったく備わっていない部分を通して勉強させて貰ったことがあまりに多く、今年1月27日、亡くなられたこと自体が未だに私は実感を帯びて参りません。

昨年7月に出版された『写真館』は、以前、限定出版されたものの復刻版ですが、百瀬さんの生まれてからのストーリーが昭和風俗史、それもとびっきりの遊の世界と絡み合って、絶妙な面白さと男の真剣勝負の気合に満ち溢れています。ご本人は「私は思い出に節度がない」と仰っていますが、人間の出会いと別れ・・・など、その時々、節度がなければやってこれなかったであろう場面場面の真摯な態度が、読む側にもそのシンプルな表現を通してストレートに伝わってきます。

昭和不良写真館 昭和不良写真館

販売元:楽天ブックス
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2008年2月26日 (火)

日本橋の美しさ

1953 日本橋三越前にあった旧第一勧業銀行跡地に大きなフェンスが出来、その壁面に大きな日本橋界隈の写真が貼られていました。日本橋の商業地としての栄枯盛衰をこの巨大な写真を通して目にすると、その変遷がリアリティを以って伝わってきます。

この写真はその中の一部ですが、1953年(昭和28年)のもので、三越方面から観た日本橋です。正に日本の一等地に相応しい姿でありますが、情けないことに僅か10年後には上を首都高速が出しゃばってしまい、暗黒の闇と化してしまい、それに引きづられるようにこの地は時代の光とオーラを失っていきます。

それでも、ようやく日本橋を昔の姿に戻す動きも東京都の検討レベルから具体化のレベルまでブレークダゥンしたようですから、その実現に向けて若干の疑心暗鬼はあるものの、この写真のような姿に戻るのであれば誰もが納得するでしょうし、それが正しい決断であることは後世証明されるのかも知れません。

下の写真はさらに遡ること25年前、1928年(昭和3年)の写真で、上の撮影場所とは異なり三越方面を撮影したものです。走っている自動車と人力車の様子からは迫り来る昭和恐慌の微塵もなく、さすが大三越の威容・帝国製麻の煉瓦ビルも完璧であります。

1928いつのことかは分かりませんが・・・全ての首都高速が地中化し、水の都・東京が復活して世界に誇る美しい都市に舞い戻ることは、叶わぬ夢なのでしょうか・・・。

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2008年2月25日 (月)

LUCCAの春

Rimg6855 Rimg6840 Rimg6831 Rimg6850 ようやく春らしい日差しも増えてきて、気持ちも穏やかになってまいりました。この日、久しぶりに世田谷にあるLUCCAにランチに出向きました。ご覧のような艶やかな外観のお店で、女将の独特なコーディネーションによる店内の装飾も、不思議な世界を遊ばせてくれます。今風のナチュラル感にあふれたオーガニック・レストランの対極をなす趣きでありますが、11時30分開店と同時に満席となることが多く、殆ど女性で占められるお客さんの中でぽつんと男独りでその独特な料理を味あうのもおつなものです。

この日は、若鶏のカレー・マスタードソース和えを頂きましたが、その酸味とカレーの薫りが醸し出すお洒落なエスニック風味に満足でありました。

モダンなシルクのカーテンからこぼれる柔らかな陽射しは、気分的にも明るくさせてくれますし、何しろ、他店とは比較にならないほどのボリュームと、丁寧な料理の味は、そのお安い値段からしてお店の道楽としか思えないほどです。

因みに、ランチは金・土・月のみ、という変則でありますから念のため・・・。

LUCCA  東京都世田谷区世田谷2-6-5 電話:03-3439-0611

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2008年2月24日 (日)

自転車あれこれ

The_cycle3 自転車を生活のゆとりと遊びの範疇で考えている皆さんは今でこそ多いとは思いますが、半世紀前であれば、キャブリオーレでドライブする以上に優雅な人の佳き趣味であったのです。

量産フレームは当然、自転車産業の柱ですから、当時も数多く生産していましたが、それに満足できない輩も居るわけで、このような皆さんが手作りフレームを主とした趣味の生活を愉しむために、クラフトマンシップありありの自転車を作っていたわけです。

1950年代のこんな写真を見ますと、どこか世間の経済第一主義とは無縁の、作る楽しさを知ってしまった集団の笑いが聞こえてきそうです。ランドナータイプのスタイルからして、フランスの自転車工房の発表会のスナップなのでしょうが、それほど経済的には豊かでないものの、心の満足感に溢れた職人気質ありありのスナップです。

一方、日本でもこの時代、既に鳥山新一氏を中心に実用車からスポーツ車への時代の変化を先取りしたグループが地道に研究と試作を重ね、やがて世界と肩を並べるほどの名車・TOEIブランドhttp://www.generalworks.com/toeisha/index_jp.htmlが誕生しました。195501

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2008年2月23日 (土)

桜新町・モダンな壁

Rimg6693 久しぶりに春らしい穏やかな快晴のこの日、桜新町の住宅街を犬連れで散策しました。このまちは南北に風通しの良い道が整然と走っていて、しかも車の運転に慣れていない方ですと、絶体絶命になりそうな曲がり角の連続が其処彼処に点在しています。

さて、この家の前を通りかかった時、あまりの白の眩しさに暫し見入ってしまいました。築50年程経っているような趣きの木造平屋でありますが、どうやらこの白壁のあるところは元々、窓か何かが在った様な気配が濃厚です。何ゆえのことか計り知ることは出来ませんが、短絡的には西日の眩しさに耐えられなかったのでは・・・、などと推測してしまいます。

左に見える懐かしい町内会の掲示板も、何も貼られていませんと、なかなか洒落た趣きを見せてくれますし、その上白をバックにうまい具合に自然発生的に育った植物の雰囲気も、作為なしとはいえ、神業的お見事なバランスであります。

この物件は、偶然性の複合化に因る、モダンスピリッツに溢れたものでありました。

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2008年2月22日 (金)

Aoken&Kunpei

Image2_2 福井健一さん(Aoken)と小川薫平さん(Kunpei)は、今年お二人とも還暦を向かえ、仕事は勿論、趣味のカントリー・ブルーグラスミュージックを十二分に楽しんでおられます。

幼い頃は仲良しでいつも一緒に遊んでいたそうですが、その後お互いに違う道を歩み、現在、福井健一さんは ドクターサクライコスメディック株式会社http://www.linn.co.jp/の代表取締役社長として、又、小川薫平さんは株式会社 トンボ鉛筆http://www.tombow.com/の取締役副会長としてそれぞれ社会に貢献されています。

そして昨年、偶然ライブハウスで50年以上ぶりの再会を果たし、どうやらその場でお互いまだ音楽を人生の友としている事を確認したようで、その結果、2月11日の祭日に赤坂で学生時代の友人が沢山駆けつけたコンサートが開かれました。

Rimg6656 Rimg6666Photo 下は20歳の学生さんから、某大大名家の70歳代の世が世であればお殿様まで、150人近いノーブルな雰囲気のお客さんの立振舞いは、日頃接している粗野なブルーグラスライブとは全く違った趣きに満ちていました。私は普段、カントリーミュージックのライブには殆ど出向きませんが、お殿様の歌う『Back In The Sadle Again』http://www.youtube.com/watch?v=Daz6B_YayDIは、その趣きが最高でありましたし、誠実な人柄そのままの歌心には作為のひとかけらもなく、素晴らしいカントリー・フレィバーを振り撒いていただきました。

偶然にも私の高校時代の先輩にも大勢お会いし、その瞬間、45年前の上下関係にリバースして、私は一番下っ端のお酒運びの役に変身してしまったのです。

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2008年2月21日 (木)

スイスポスター・レーティシュ鉄道

Swiss1414 Drawing : Walther Koch

P060714023411909年制作、スイス・レーティシュ鉄道のポスターです。これもスイス鉄道旅行のスポットに焦点を当てた一枚で、主役はやはりラントヴァッサー橋の絶景ですから、列車はほんの少し申しわけ程度に描かれています。

観光資源と精密工業で生計しているこの国にとって、とくに観光資源の広報活動には独特のスタンスがあって、自国の誇りたる絶景の普及に勤しんでいます。他に代えようのない地球からの贈り物である自然景観をイラストレーションで写真よりもインパクトある見せ場を表現しています。この書体はなんと呼ぶのか分かりませんが、この時代のポスターには頻繁に登場するキャラクターで、独特の趣きがあります。観光資源としての景観を可能な限りその周辺までイノセントな状態に保っている精神は今も、例えばツール・ド・フランスやツール・ド・スイスなどの自転車ロードレースの中継をみていても、うかがい知ることが出来ます。ですから、こんなポスター一枚とりあげても、その精神は共通していて、観光客数の増加を図るなどという小恥ずかしい発想はあまりなさそうでありますし、そのような精神の貧困さとは対極にある民度の表れなのでしょう・・・。

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2008年2月20日 (水)

鈴木信太郎・青い漁港

16鈴木信太郎には 1970年代に描かれた伊豆半島の漁港をモチーフにした作品は数多くあって、その一作一作が異なった表現をしていますから、横並びで観察すると、人間の想像力の凄さと、その幅の広ささえ感じとることが出来ます。

この油絵は何処の漁村を描いたかというデータがありませんが、入江の奥のような渋い漁村の構図が、玄人好みのような風合を出してくれています。

今ではすっかり見かけることもなくなった日本瓦に覆われた家屋の様子が大胆な主役をはっていますが、確かに昔の日本家屋の屋根はこのような、左官仕上げのような部分もあって、大雨や台風が過ぎると欠け落ちて無残な残骸が庭に落ちていました。

 この絵には鈴木らしからぬまとめにくい対象を色の楽しさを創作することによって平和な漁港のひと時を表現していますし、手前のピンク色と海のロイヤルブルーの対比が現実とは違うであろう、カジュアルな味わいを見せてくれます。

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2008年2月19日 (火)

Paul Smithのサングラス

Rimg6476 Rimg6477 Rimg6479 メガネの世界は、そのトレンド自体が自由自在で周りのファッションや風俗と関係なく一人歩きしている面白さがあって、そこには当然ですが、センスのグレードも千差万別ですから、一向に見飽きない世界なのです。

そのような中で、最近ポール・スミスの生み出すサングラスは時計と同様、いっそう過激になってきて、おそらく過去の世界ののポップス・ミュージックにインスパイアされたと思えるようなオーラが伝わって来ます。

今やファッション界のみならず、ポップスカルチャーのアンカーマンでもあるポール氏の頭が描くコンセプトと、彼が収集し続けている様々なモノを通して紡がれ生み出される一連の商品には、1960年代からたゆまず風俗変遷を見据えてきた確かな裏づけがあるからこそ、小さな部分にもその時代の薫りがしっかりと遺されているのであります。

今年の神宮前Paul Smith SPACEに展開しているサングラスの中にはロイ・オービソンhttp://www.youtube.com/watch?v=yHRHftnQYGI&feature=relatedが好きだった形に近いものもあって、1960年代初頭のロックンロールの品の良いサウンドが聴こえてくるようでもあります。

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2008年2月18日 (月)

青山フラワーマーケットは冴えている!

Rimg6598 最近の商業施設のメインエントランスには、必ずといって良いほど登場するのが、青山フラワーマーケットhttp://www.aoyamaflowermarket.com/ですが、いつ頃からブレークし出したのは分かりません。どうやら他所ではやらなかった・気付かなかった視点で花のある暮らしを具体的パッケージを通して、又、その適正な価格設定によって多くの女性を中心にシンパを生んでいったようです。

花の組合せによって日本の旬の歳時記をも採り込み、まるで地味な総菜屋さんを明るいカジュアルな業態にしてしまったような社長の着眼点は、正に小売業の進化していく教科書のようでもあり、今後は異業種との複合化なども予測されて、その冴え渡る視点は錆び付くことなどとは無関係のような、留まるところを知らない勢いであります。

ややもすれば類型的になりがちな花商売の世界において、常に時代の変化に臨機応変に対応できるその企業資質は、どうやら社長のトライアスロンを通して築いていったアスリート特有の、瞬間判断の機敏さが原点のようであります。

それにしても、最近お会いする新しい業態の社長さんに共通なのは、極めてヘルシー・ビューティー・スポーティー・・・なところでしょうか・・・。

ところで、カントリーミュージックにも花をモチーフにした名曲は数多くありますが、留めはやはり、リン・アンダーソンが1971年に歌って大ヒットした『ROSE GARDEN』でしょうか・・・http://www.youtube.com/watch?v=RZ8UEnqP9zw 。余談ですが実はこの曲、日本でも南沙織が歌った『17歳』の原曲とも言われています。

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2008年2月17日 (日)

古書店の拾い物!

Img_7723_2 Img_7728 Img_7726 Img_7727 Img_7724_4 神田神保町は、時間の許す限り、頻繁に通っているのですが、昨今の家庭環境の状況なのか、大きく重い本の需要が悲惨なほど少なく、その結果、価格の大暴落を招いていて、逆に趣味性の高い豪華本などに興味のおありの方にはまたとない大チャンスでもあります。

先日も悠久堂書店の路面のダンボールの中に昭和43年・淡交社刊行の『日本の文様 風月・花鳥2~3』のセットがなんと一冊800円という価格で放出されていました。さほどの豪華本ではないものの、北村四郎・吉田光邦・田中一光のトリオでまとめられた日本の意匠史に燦然と輝く大仕事の本を見つけた時はその価格に唖然といたしましたが、時代の流れはもうこのような立派な内容の本を必要としていないと思うと、少しさびしい感覚を持たざるを得ませんでした。

この本、単なる意匠の本と思うと大間違いで、花鳥シリーズでは、その分類自体が北村四郎氏の専門である植物史・植物地理学に立脚し、図録の解説にもきちんとその体系が反映されています。また一方の風月では、天・地・人という中国で創案された三才の分類に決まり、日本の明治期までの知識思考様式のひとつに自然観察の手法が採りいれられていた、などということにも展観しています。

このシリーズ、本来は全四巻なのですが花鳥の第一巻が欠けていて今探してもらっていますから、いずれ登場するまでの時間をしばし手に入れた三冊で勉強いたします。

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2008年2月16日 (土)

釜師・山口孝雄 茶釜展

Rimg6734 Rimg6736 Rimg6737 北鎌倉にお住いの、山口孝雄氏の茶釜の展覧会が14日から20日まで東急百貨店・渋谷本店 8階画廊で開催されています。

茶道の流派や固定的な設えの約束ごとにも自由に解き離れた感性と理性で遊びまくるその存在は、モダニズムの確信犯的資質が見え隠れしていて、これからのお茶の世界さえ暗示させているようであります。山口さんは3代に亘り釜師の血統を引き継ぐ、一見強面の方でありますが、話し出すとその優しい性格が一気に噴出して、周りを明るくさせてくれます。Rimg6751_2

    釜師山口の初代・祖父の浄雄は、主に明治から昭和の中頃まで制作活動をしておりましたが、この時期は近代に於ける茶の湯の復興期でもあったためか作品は名物釜や好みの物の釜の制作が多かったようです。

    父・寿雄は戦前戦後の新しい工芸運動の中で、自分なりの釜を求めて制作しておりました。私の釜作りも父と同様に、私なりに今日性を求めた釜作りを課題としております。

    釜は茶席において終始お点前の中心的位置に置かれています。それだけに冗舌な存在感を主張するのではなく、静かに、落ち着いた、しかし存在感を持つものでありたいと思っております。この存在感は形と技術の確かさから生まれるものと考えており、これらへの挑戦が常に私にとっての作品作りの課題です。

    学生時代は一品制作、会社勤めの時代には少量から多量の製品作り、そして今、一品制作に戻りました。数多く作る事の面白さと一品制作の面白さは夫々違ったものを持っていますが、どちらも作った〈もの〉を、より多くの人達に認めて貰う楽しさは変わりません。

    釜本体、蓋、摘みなど殆どの作業を自宅の庭先の「鋳庵工房」で制作しております。茶釜は金属を溶かして型に鋳込む、鋳物によって作られますが、鋳物の仕事は3Kの一つであり、力を要する仕事です。その上作業工程は細かな作業を含めますと非常に多く、手間がかかります。この手間が楽しめる限り制作して行きたいと考えております。


やまぐちたかお
山口孝雄

    1943年  
    釜師山口寿雄の長男として東京都北区十条に生まれる。
    1967年  
    東京芸術大学大学院・工業科卒。父寿雄に師事。
    1968年
    (株)伊勢丹研究所に入社。食器類の商品開発に従事。
    (財)産業デザイン振興会の海外派遣研究生として、ヨーロッパのデザインを研修。及び国内の地場産業のデザイン指導に従事。

    1978年 
    旧岩城硝子(株)に入社。
    パイレックスR等の耐熱硝子食器商品開発等に従事。
    *これら会社勤務の傍ら茶釜制作を行う。

    1997年   
    旧岩城硝子(株)を退社し茶釜制作に専念。

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2008年2月15日 (金)

1969年・八方尾根

19699 学生時代も終盤に近づき、周りの連中は授業と就職情報にそそくさとしていましたが、1969年(昭和44年)の春、私は相も変わらずスキー三昧の春休みでありました。多少のデザインに関係するアルバイトのおかげで、春スキーのために溜め込んだバイト代をこの春の楽しみのために一気に使い切っていました。免許も取って、念願のブルーバードSSSを購入し、はじめて八方尾根まで車で行きましたが、中央高速は甲府手前までしか完成してませんから、その先延々と塩尻峠を越え、9時間近く掛けて八方尾根までのロング・ツーリングを独りで堪能していました。八方尾根に初めて行ったのは1968年からですから、この写真はその翌年ということになります。

デザインに関係するアルバイトの他、銀座のスキーショップのアルバイトなど、遊びのためにはこれでもしっかりと稼いでましたが、銀座のスキーショップに入荷する最先端の道具が買わざるを得ないほど希少なブランドばかりでしたから、誘惑に弱い私はバイト代を前倒ししては、手に入れてました。この靴はROGGが初めて採用したカンティ・レバー方式でしたし、ストックは念願のSCOTT、板にいたっては当時のスキーマニア垂涎のブランド・スイスのSTOCKLI(一般には銅鍋のメーカーとして有名ですが)と、学生の身分ではあまりにも驚愕値段でありましたが、又バイトで何とか出来るだろう・・・などと軽い乗りで購入したものばかりです。

奥に見える東急山荘は、未だ、だるまストーブがぎんぎんに赤く焼け、ワイヤーに吊るされたグローブからは汗の臭いがうっとおしい、トラッド感に満ち溢れたロッジ風の山小屋で、ここでいただく洒落た珈琲やサンドゥイッチが周りの小屋のメニューよりもモダンな感じでしたから、滑り降りてはよく休んでいた場所です。

19691_1 今では、日焼けがダサい時代ですが、当時は黒く焼けていることがある種のスティタス性を含んでいましたから、誰に教わったか定かではありませんが、CocaColaとメンソレータムを混ぜて塗ると速く濃い色に日焼けするなどと云われていた時代ですから、私もご他聞に漏れず、小僧の手習い風に真似をしていました。

細野村の定宿『八平荘』を出て、一日中、春時期の強烈な日差しを受け、東急山荘の目の前に広がる鹿島槍をはじめ北アルプスの雄大な眺めを日焼けしながら、ぼーっとできる至福のひと時を満喫していました。

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2008年2月14日 (木)

パリのお菓子

Rimg6639 Rimg6637 Rimg6641 ロンドンから一時帰国された梶原建二さんから戴いたパリのノスタルジックな雰囲気のお菓子です。http://www.lescakesdebertrand.com/

キャンデイの香りはバイオレットの花から採取したナチュラルなもので優しい甘みであり、いかにもパリの気配濃厚です。

それよりもこのパッケージが嬉しくなるようなティストでありました。日本でいえば経木のようなものなのですが、蓋に描かれた鳩の挿絵風といい、バイオレットの中敷の紙のタッチといい、実にフランス的大まかなセンスにも関わらず、独特のメルヘンフレーバーに満ちています。詳しいことは分かりませんが、この会社はノスタルジーが売りの会社なようで様々な商品を展開しています。この雰囲気はジャンルを問わず日本でも根強い人気のティストジャンルで、一時は店作りの中核のキャラクターとして定番でありました。最近の店では忘れられてしまったような感覚ですが、ファッションのクラシック戻りもあって、どうやらこのセンスが今年のトップピークなトレンドのようです。

なによりも子供っぽくないディレクションが今風なのかも知れません。さすがにアロマ関連のビジネスhttp://www.nealsyard.co.jp/をされている梶原建二さんらしいバイオレットのセレクションに、家族一同が・・・納得でありました。

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2008年2月13日 (水)

1956年・私の日記より

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小学校の教室に早く来る友達はだいたい決まっていて、今から思えば、殆どが元気で遊び好きな仲間ばかりでした。

この時代、授業の始まる前に遊ぶのは当たり前で、ドッジ・ボール、野球、そして缶蹴りが人気御三家でありました。当時の2月は今と違って、まだ寒かったように記憶してますから、体を温めるにも、遊びまくったのであります。

8時前には教室を飛び出して、缶蹴りが始まると、よそのクラスの仲間も入って、結構大人数となりましたから、一度鬼になってしまうと、簡単に鬼の役を離れることができなかったため、妙な公平意識も芽生えて、最後の頃は順番に鬼を決めるようになりました。

当時の運動靴の先のゴムの部分はさほど厚いわけでもなかったので、丈夫そうな缶が主役の時は、うっかり蹴るとやたらつま先が痛かったことを、覚えています。

たっぷりと遊んで授業開始のベルがなる頃には一汗かいていましたから、教室に入ってダルマストーブで暖められた部屋で身体から発した湯気はもちろん、更に汗が吹き出るのでした。

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2008年2月12日 (火)

エスクアイア誌・1990年代

Img_7716 Img_7717 Img_7718 Img_7719 Img_7715 昨今の男の雑誌の跳梁跋扈に僻々しているのは、私だけでしょうか。デスクトップで出版の心臓部といわれる編集とレイアウトの殆どを完了することが出来、さらにアートディレクターが介在しなくとも、消耗品扱いのようにグラフィック処理が進行していくご時勢では、見応え・読み応えのある雑誌など、期待する方が時代遅れなのかも知れません。もう殆ど、情報敏速処理加工業そのもののようであります。それでも、1990年代の『ESQUIRE』などを捲りますと、本好きな集団が夫々の情熱と拘りを以って、一冊一冊に入魂しつつ、刊行していった様子が此処彼処に垣間見れます。余白センスのある編集担当者が関わった趣きのページには、小気味よい文案がさらっと書かれて、要所・急所の押さえどころに一分の隙もなく、この雑誌制作集団の団結力が表れているようです。

ページを捲りつつ、突然、目の前にポール・スミスの厚いFAIROFAX手帳のなどをド迫力の見開き写真で見せられると、当時(1992年)一般にも普及し終わった感のあるこのシステム手帳を、今も再度購入してみたくなります・・。この雑誌には伝統的に物欲を喚起させる魔術のようなセンスがあるのですが、この写真などはその冠たるものといえるでしょう。

臨時増刊などのフェイントで雑誌おたくの意表をついては、斬新な切り口で男の世界を古今東西按配よく調理していましたが、その後出版社も変わり、当然担当者も代わって、現在この雑誌には、目新しさの方にばかりネタが偏り、往年の大人の正しい在り方という頑固一徹さの視点が全くといってよいほど、薫ってまいりません。

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2008年2月11日 (月)

神田ささま・下萌

Rimg6586 土曜日の夕方からの雪がしっかりと降り積もって、日曜の朝の庭先は5センチ以上でありました。

このような風景にぴったりなのが、神田駿河台下にある和菓子匠・ささまhttp://www.sasama.co.jp/top.htmlの『下萌』という銘の生菓子です。

雪に埋もれて、今にも出ようとしている地中の草を象徴的に表わしたこの逸品は、江戸的感性でなければ生まれそうもない、実に植物生態観察視点からインスパイアされたものです。きんとんで表わした簡素なものですが、京都系和菓子に観られる都の雅さ・花町の艶やかさはないものの、野趣的な薫りをもちこんだこの品には江戸生菓子意匠のもっている自然界を師匠とした控えめな感性が充分であります。

和菓子界もご他聞にもれず、若い女性を取り込むのに躍起となっているのでしょうが、ささまをはじめとする頑固一徹系の職人魂に満ち溢れた店は風俗に媚びず、ただ一心に先代の感性の普遍性を繋いでいるばかりで、そこが却ってある種のモダン性を秘めているのであります。

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2008年2月10日 (日)

ギフトショーは NIPPON盛り

Rimg6545 Rimg6543 Rimg6546_2 久しぶりのギフトショー見物に、ビッグサイトに伺いました。この日は朝から霙混じりの最悪の天候でしたが、『ゆりかもめ』は一見してギフトショー関係者と思しき集団の塊でラッシュアワーのような混雑振りでした。

ギフトショーには5年ほどご無沙汰してましたが、この日は中日ということもあるのでしょうが以前のような混雑と比較すれば悪天候ということを考えても、その閑散さが気になりましたし、外国人の少ない様子にも、この国の現況が象徴的に表れているように思います。

目に付いたのは、何と言ってもNIPPONを表立って訴求していることでしょうか。これまでも各県がそれぞれの持ち味を出していたものの、ひとつ洗練されていなかったのですが、今年はJAPAN BRANDと謳ったアートディレクション主導による各県のベストスキル・ベストマテリアルがこれまでの確執を超えて、世界に発信したいというメッセージを強く感じました。

もちろん、例年賑わう大多数の各県の物産ブースはいうまでもなく、この国の上げ潮ジャンルであるアニメ・ライセンス業界に至るまで、この五年でずいぶん淘汰されたように感じました。

しかしながら、相変わらずレストランの食事のまずさと接客の横柄さなど腹立つは多く、同行した半外国人のような日本人の友達は、外国生活の長いこともあって、その辛辣なコメントが、小気味良いのでありました。

さて、ビッグサイトのイベント管理は細かいジャンル区分けが今の時代に合わず、時代の潮流よりも業界の発展と中小企業の振興といった側面が強すぎ、世界を相手にしているそこそこのメーカーは、ギフトショー離れをし始めたようであります。

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2008年2月 9日 (土)

梅の開花

Rimg6579 Rimg6556 寒い東京ですが春はひたひたと近づいているようで、品川・荏原神社の早咲桜も間もなく満開ということですから、心もうきうきとなって参ります。

今朝、庭の紅梅・白梅が蕾から一気に開花して、ほのかな香りが漂っています。昨年とほぼ同じ日の開花ですが、温度は明らかに今年の方が寒い気がいたします。

この寒さのおかげで、すっかり自転車ともご無沙汰状態でありますが、そろそろメインテナンスを始めませんと、突然の快晴・無風の日に瞬間対応できませんから、とりあえず変速機・ホイール辺りのオイルチェックからでも始めます。

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2008年2月 8日 (金)

水彩で春の気分を!

Rimg6451 朝からしゃきっとした陽射しが窓を通して差し込んでいると、一日が気持ちよく過ごせそうで、きりっとした気分になれます。

今朝も南からストレートな朝日が入って、昨晩読みっぱなしの雑誌を片付けたスタジオデスクに反射して眩いばかりです。

気分も爽やかな中、ブルースカイボーイズやルーヴィンブラザースのデュオによるアメリカンミュージックがこの天気にぴったりでしたから、CDプレーヤーをかけっ放しにして、久しぶりに水彩画を描こうと思い、手近にあるブルーの瓶を絵葉書仕様の水彩画紙に描いてみました。水彩の色は80色ほどあるのですが、年々好みが偏りだして、ここ数年はビリジャンを中心としたグリーン系色を使うことが主立ってましたから、しばらく使わないでいたウルトラマリンとバイオレットを混色して、このデリケートな色の瓶をモチーフに表わしてみました。さらっと描いたわりには雰囲気まあまあの程度で収まりましたが、同じように描けないところが水彩の一長一短たる所以で、これはこれで、たった一枚なのであります。

水彩は白の余白の捌き次第で、出来栄えに天地の差が出ますが、これは久しぶりに筆を取ったので、ためらいがまともに出てしまい、余り良い出来栄えとはいかなかったのであります・・・。

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2008年2月 7日 (木)

機内食もLOHAS?

Qol_large_qantasbusiness1 Qol_large_finnair1 ロンドンをベースにするメディア、Monocleのサイト http://www.monoclemagazine.com/ に登場したカンタス航空・フィンランド航空の機内食を観ると、実に今の健康志向の顧客ニーズに合わせたメニューなのに、感心しました。一時代前までは飛行機の機内食といえばハイカロリーと相場が決まっていたようなものの、今ではメニューの選択肢も増えたのか、このようなシンプルリッチなメニューも登場したようであります。

さらに、下のフィンランド航空に至ってはイッタラ社のガラスと陶器を使っていてデザイン立国のメッセージも怠りません。

既に時代の流れが、無理しない・頑張らない方向に向いてしまい、環境指向・節度指向・単一思考から有機的思考への切り替え・・・など、地味ながら豊かなときを楽しむライフスタイルに大きく移り変わり始めたことは、このMonocleがこのような画像をサイトに出したことで、決定的かも知れません。何しろこの雑誌とサイトはそれぞれのメディア特性を熟知していて、同時進行・異方向・新機軸などの裏技を駆使しつつ、既に世界のトレンドを含めたジャーナリズムの新しいステータスを牛耳った感があります。

このMonocleは業界的には新富裕層を相手にしたメディアという位置付けですが、この国の短絡的・記号消費内容とは関係なく、新しい贅沢さを追求した、真の次代の感性を占うメディアに違いありません。

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2008年2月 6日 (水)

これは欲しい!

Rimg6394  Rimg6388 Rimg6389銀座2丁目のVelvia館、4階5階を占めるBALS TOKYO GINZAは、ちょっと楽しいリビング関連の店です。BALSは最近の商業開発施設ではお馴染みの店舗でありますが、銀座界隈ではこの店の商品政策(マーチャンダイジング)がセンスよく、半歩先のライフスタイルを具体的品揃えを通して見せてくれますから、私には教文館とともに銀座徘徊の立寄り処としての定番であります。

今の時代の重心が静かで安らぎのある簡素な方向を指し示しているようでありますが、どっこい、このようなハイエンドなライフスタイルをお望みの皆さんも相当数、いらっしゃるようです。此処は家具の類はもちろんですが、ご覧のような趣味的品揃えが楽しく豊富ですから、値段のことは差し置いて、生活をエンジョイするモノが、この閉塞感で充満した気分を高揚させてくれます。

盗み撮りできませんでしたが、ペインティングされたバイクヘルメットもなかなかセンスの良い出来上がりで、これを自転車ヘルメットにも応用すれば、今よりま少しヘルメットを被る中高年の自転車狂が増えること、間違いありません・・・。

このフロアーにはCANNANDALEの自転車ショップもリンクしていて、日曜日の皇居周回練習をしていて、ちょっと部品の必要になった時など、至極便利な場所でもあります。

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2008年2月 5日 (火)

サントリー・おもしろ冊子

Rimg6431 Rimg6437 Rimg6440 04 Rimg6439 サントリーという会社は、伝統的に企業姿勢のメッセージから販促に関する具体物まで、同業を含めて日本の企業の中では並外れてセンスよく、その文案から写真、レイアウトに至るまで、ストレートなメッセージを永年発信しています。そこには山口瞳・開高健・柳原良平というサントリーの三羽烏が典型を創りだしたからに他ならないと思いますし、彼らの遺伝子を引き継いだ一月の成人式に関する伊集院静氏のメッセージも、出色でありました。

さて、この三冊はバブルの最盛期・1980年代後半に酒問屋などに配られた、SUNTORY SPARKLING BOOKSUNTORYSPIRITS&cocktail BOOKSUNTORY HOT BOOKというそれぞれの洋酒の飲み方を含めたレシピも詳細な、男の趣味の世界に関わる読み物満載の冊子です。それぞれの内容は異なるものの、執筆陣からカメラマン・デザイナーに至るまで、サントリーのセンスが隅々に至るまで手抜きなしの出来栄えですから、今でも気に入った文庫本と同様に見る機会の多い冊子であります。

たかが販促品の類とはいえ、傑作『洋酒天国豆本』の伝統なのか・・・、力を抜かずに尚、楽しさ満載・凝りまくったディテールの連続の冊子は、広告屋さんに任せず自ら方向性と押さえ処を決めていくからこそ、その中身が鮮明になるのでしょう・・・。

平然と生きる人であれ

新成人おめでとう。

君は今日、どこで、何をしながら、成人の日を迎えただろうか?祝福される人もいれば、一人でいる人もいるだろう。

成人を祝うなんて古い習慣と思うかもしれないが、そうじゃない。世の中には二十歳を迎えられなかった若者が大勢いる。

ほとんどの人は無事に生涯を送ることができない。それが私たちの生だ。生きていることがどんなに素晴らしいか、若い時にはわからない。私も当り前に思っていた。

だが君はいつか生きている意味を思い知る日がくる。ただその意味を知るために私たちは生きているんじゃない。もっと大切なことがある。

それは、人間は己以外の、誰かの、何かのために懸命に生き抜くことだ。

『人のためだけに?そんなの変だよ・・・・・・』 変じゃないんだ。今、日本の大人たちがなすすべての醜さは、それができていないからだ。

そうすれば君に見えてくる。世の中が、人間の生が、いかに哀しみであふれていることが・・・・・・。

それらの哀しみを平然と受けとめ、どんな時にも、君は、そこに、スクッと立っている人であって欲しい。

そのためには心身を鍛錬しておくことだ。頭ばかりが動いてはダメだ。

ひとつしかないこころと身体を強くするのだ。こころと身体で汗をかけ。

その汗は、今日から飲める一杯を格別に美味しくするぞ。強いを目指す君に乾杯。

強いを目指す君に乾杯。

伊集院 静

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2008年2月 4日 (月)

ポールスミス SPACE・ 本城直季展

Rimg6455 Rimg6460 Rimg6465 Rimg6480_2 Rimg6482 本城直季さんの写真展が青山・ポールスミス SPACEにおいて開催中ということで、イギリスにお詳しい小石原耕作さんと一緒に観てきました。http://www.ukjapan2008.jp/events/2008/01/20080126-01j.html

昨年の『銀座百点』に本城さんの写真が掲載されてから、すっかりやみつきになってしまい、まるでジオラマと間違えてしまうその不思議な世界は、空間認識さえ狂ってしまいそうであります。

ポールスミス氏は本城さんの写真集を観てから、やはりその独特な感性にインスパイアされたのか・・・、とうとう彼のスポンサーに名乗りを挙げ、ヘリコプターによるロンドン空撮を決行してしまいました。今回はロンドンで開かれた写真展と同じ展開をしていて、どの写真にも本城さんらしい柔らかい視線が対象の環境に注がれています。この日は店長の日下貴行さんに店内を案内して頂き、地下のライブラリーにグッと来てしまうのでありました。

帰り際に地下の売場にこっそりあったミニカーを一台、ゲットしたのであります。千円札でお釣りの来る嬉しい価格もさることながら、ほっとするその姿は、ペーパーウェイト代わりとしてデスク上の出番が増えそうです。Rimg6497 

本城直季
1978年東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。同大学院芸術研究科メディアアート修了。人物や建造物をミニチュアのように撮影する独特の手法で人気を集め、現在多方面で活躍中。
2005年にはsuperstore Inc.にて初個展「small garden」、2006年には水戸芸術館クリテリオムで「play room」、2007年にはサンタフェのTAI Galleryにて「small planet」を開催。
ファースト写真集『small planet』がリトルモアより出版され、第32回木村伊兵衛写真賞を受賞。

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2008年2月 3日 (日)

ミキモトの木彫ドール

Rimg6424 Rimg6425 Rimg6426 ミキモトの小さなウインドゥは機略縦横・斬新奇抜・権謀術数・・・などなかなか機知に富んだフェイントがお得意で、常にドキッとさせてくれます。しかも、毎回それなりのコストを掛けていて、そこからは成り上がりの海外メガブランドとは一線を画す、小さいながらも銀座の誇りさえ窺えるようです。

この木彫による女優・歌手のオンパレードは、彫刻刀の鋭いエッジと柔らかなトーンでまとめた色彩設計が、繊細な中にシャープな造形を浮き立たせています。

一番右側で旦那気分に浸っている御木本幸吉翁と思しきお方に敬意を表して、ジョセフィン・ベーカー、マリリン・モンロー、オードリー・ヘップバーンン・・・と思しき、昨今のお友達感覚のタレントと違い、ある時代が生んだ傑出したスターばかりが横一列に自己主張しながら並んでいるさまを無視して素通りするわけにもいかず、やはりたたずんでしまいました。

銀座の大通りにあるこのオアシススポットは、隣接する季節のお花畑とともに、無機的な都市空間の多い中で柔らかい日差しのように私たちを、温めてくれます。

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2008年2月 2日 (土)

日本の色名の深さ!

Photo 色彩の選定は仕事柄頻度の高い業務で、最近は標準化と情報共有という効率面からも、シアン・マゼンダ・イエロー・ブラックの配合率で決定していく理性的な作業が主となっていますが、その昔、この日本ではひとつひとつの色に四季・自然環境から植物生態にいたるまで、奥深い意味のある名前を付けていました。

具体的には飛鳥時代から室町時代あたりまでを権威の象徴としての意味合いの濃い古代色、江戸時代を中心とした流行色の意味合いの濃い近世色に二分されているようで、このふたつには名前にも相当な違いがあるようです。

さらに、色を商売の隠し味としている産地問屋や町の商人、そして今で云うコーディネーターのような悉皆屋http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0434.htmlなどは、それぞれ独自の色の名付けを持ち、それ自体がひとつのコード(暗号)でもあり、一子相伝・門外不出のような時代もあったそうですから、今日の標準化とは対極の正にトップシークレット・オリジナルなのであります。

さて、日本の色に関しては、平安時代からの装束研究をしている高田装束研究所http://www.takata-courtrobe.co.jp/や、日本の伝統色のサイトhttp://www.studio-mana.com/ippuku/dentousyoku/など幅広いサイトがあるのにも驚きであります。

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2008年2月 1日 (金)

堀口硝子・江戸切子

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江戸切子 江戸時代後期、天保5年(1834)に江戸大伝馬町でビードロ屋を営む加賀屋久兵衛が金剛砂を用いて硝子を彫刻し、切子細工の技法を考案したのが始まりといわれています。その精巧なカット技法は、明治6年(1873)に設立された官営の品川硝子に継承されました。明治15年(1882)にはカットの指導者として英国人エマヌエル・ホープトマン氏を招き、数名の日本人がその指導を受けました。その中に大橋徳松がおり、弊社の創業者である堀口市雄(初代社長)はその直系にあたります。江戸切子は平成14年(2002)に国指定伝統的工芸品に認定されました。(堀口硝子・パンフレットより)

堀口硝子http://www.horiguchi.biz/text/frame3.html の江戸切子に偶然出合って以来、その虜となってしまい、普段は使いませんが、時々桐箱から出しては、その姿を観ています。様々なカット技法がある中、初めて観た時の直感でセレクトしたものですが、その色合いがなんともいえない品格を保っています。江戸小紋に代表される和風のカットも捨てがたいのですが、私はどうしてもこのようなモダンなカットのものに嗜好が傾いてしまいがちであります。この器の出番はやや暗めの灯の下で輝きと反射を愉しむのがご機嫌なのでしょうが、強い朝の日差しの下でも、悪くはありませんね・・・。

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