鈴木信太郎・青い漁港
鈴木信太郎には 1970年代に描かれた伊豆半島の漁港をモチーフにした作品は数多くあって、その一作一作が異なった表現をしていますから、横並びで観察すると、人間の想像力の凄さと、その幅の広ささえ感じとることが出来ます。
この油絵は何処の漁村を描いたかというデータがありませんが、入江の奥のような渋い漁村の構図が、玄人好みのような風合を出してくれています。
今ではすっかり見かけることもなくなった日本瓦に覆われた家屋の様子が大胆な主役をはっていますが、確かに昔の日本家屋の屋根はこのような、左官仕上げのような部分もあって、大雨や台風が過ぎると欠け落ちて無残な残骸が庭に落ちていました。
この絵には鈴木らしからぬまとめにくい対象を色の楽しさを創作することによって平和な漁港のひと時を表現していますし、手前のピンク色と海のロイヤルブルーの対比が現実とは違うであろう、カジュアルな味わいを見せてくれます。
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