北青山・山陽堂書店
表参道と青山通り信号傍にある『山陽堂書店』は、場所柄ファッション・デザイン・風俗情報誌の品揃えとその棚分類・陳列がおみごとで、ぱっと店内に飛び込んでも、迷わず目的の雑誌・本を探せます。決して広くもなく、おまけにスキップフロアー状態ですから、うっかりするとつまずきそうになりますが、女将さんとお嬢さんの笑顔を見るとにっこりしてしまうのです。今時、女性の仕切る本屋さんも稀少ですが、この店はいつ来ても本が綺麗に輝いていて、普通の本屋にありがちな埃っぽさが、全く観られないのです。
創業は明治24年(1891)という長い歴史をお持ちで、その間には、昭和20年5月25日の東京・山手大空襲で多くの人を店内に招き入れて助けたことや、今もこの界隈のランドマークとなっている外壁の谷内六郎さんも手伝った、タイルの壁画も現存している・・・など、じっと昭和史とともに生きてきたお店なのです。残念なのは1964年の東京オリンピックの際、青山通りの拡張工事で、お店の南側から三分の二ほどが、縮小されて、その堂々たる建物の名残が観られないことです。
限られた空間にもかかわらず、海外情報誌の品揃えも侮れず、あの Monocle もきちんと置かれています。限られたスペースで最新・最上の書籍・雑誌を展開するのは神業的感性と在庫管理の理性がものをいう世界ですが、このお二人はそれをいとも簡単にさらり・・・と処理してしまうのです。
神田・神保町の本屋さんとはどうやら本・雑誌に対する捉え方が異なるようで、山陽堂書店はまさに情報としての紙媒体が大好きなようでありますし、その情報としての寿命・鮮度なども街を観ながら日々切磋琢磨して判断しているのです。ですからこの界隈のクリエーティブ界の皆さんの信頼も段違いなのです。
山陽堂書店 東京都港区北青山3丁目5-22 03-3401-1309
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