« 広重・日暮里 諏訪の台 | トップページ | 鈴木信太郎の港風景 »

2008年4月 8日 (火)

広重・千駄木 団子坂 花屋敷

016 此処がその昔は江戸市内でも、なかなかの絶景スポットであった・・・などとは自転車で通過しても全く気付きませんでした。

1850年代の中頃に刷られたこの版画には、今、その面影の微塵も無いのですが、素晴らしい風景が記録されています。奥に見える立派な建物は『紫泉亭』と呼ばれていた眺望絶佳の、今で言えばカフェ・レストランであります。この『紫泉亭』は1852年にこの土地の旧家・植木屋宇平次が開いた梅・櫻の庭園の崖上にあり、噂を聞きつけた庶民から札差までが遊覧に興じ、たいへんな繁盛であったようです。

画面真中を源氏雲 (雲文の1つで、絵画や文様の中を洲浜形に仕切って、雲がたなびいた感じを表わしたものです。「源氏物語絵巻」に使われたことから源氏雲と呼ばれるようになりました。雲に隠れた部分で時間や空間の推移を想像させ、さらに装飾的効果も与えています) で省略していますが、崖であった様子を雲の途切れた辺りにほんの僅か垣間見ることが出来ます。

手前に見える川、あるいは池と思われる場所はいろいろな先生が、藍染川やら根津権現の池など諸説を唱えていましたが、今では古文書から、植木屋宇平次が造った花菖蒲の池というのが決定的であります。

今日では、この近辺、上野から入谷・本郷にかけて、水辺を楽しむ眺望の素晴らしい場所が其処彼処にあったなど気付きもしませんが、この版画を通して、この時代、江戸の皆さんが身近なところで素晴らしい環境に囲まれていたということを、垣間観ることができます。

|

« 広重・日暮里 諏訪の台 | トップページ | 鈴木信太郎の港風景 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/29019/8960374

この記事へのトラックバック一覧です: 広重・千駄木 団子坂 花屋敷:

« 広重・日暮里 諏訪の台 | トップページ | 鈴木信太郎の港風景 »