HAFFの製図用具
百貨店のオリジナル商品開発・宣伝に追われていた1970年代中頃から後半にずいぶんお世話になったHAFFの製図用具は、80年代に入ると店舗開発のディレクション業務・業者との折衝業務が主流となったこともあり、ものづくりから離れてしまい、すっかりお蔵入りとなって、その後も殆どお世話にならず今日まで来てしまいました。これは、確か、1975年頃に銀座・伊東屋で購入したように記憶していますが・・・。
1970年代の銀座・伊東屋の製図用品売場には、威厳をもった製図用具が、所狭しと置かれていて、スイス・ドイツの潔癖な製品から国産の初心者向けのものまでが、その精巧なメカニズムと工業製品の美を競うように展開されていました。私は1967年、初めての海外旅行で購入したスイス・Kern社製の製図用具http://sohske.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/kern_2d16.html#commentsを使っていましたが、このドイツ・HAFF社製のものはKern社製のものほどメッキが輝いてなくマット仕上げとなっていて、目も疲れることなく使い勝手に優れ、1975年の購入以来、会社ではこちらを愛用していました。まるでライカのような美しい表面処理を施した本体は、全く傷も付かず、40年近く経った今も、驚くべきことに美しく渋い輝きは不変です。
道具のあるべき姿が、なんの衒いもなく実直に表れているものには、清清しさと神々しさが同居していて、それを使う仕事に対する真摯な取組みの姿勢さえ、何処からともなく、観られているような気がいたします。
ところで、最近の銀座・伊東屋の品揃えには急に変化が出て、極論すれば、売れるものをこれまで以上に重視し始めたようです。例えば、画材売場の品揃えなどは、何もないのと同じようで、初心者向けのモノに重心が移動してしまいました。男の散策と薀蓄の宝庫であった時代はもう過去のものといっても過言なし・・・です。いずれの大店も大小の差こそあれ、メガブランドとアジアの客に翻弄され、銀座のあり方などかまっている状況ではなさそうですが、ここはひとつ、銀座百店会http://www.hyakuten.or.jp/syoukai/syoukai.htmlの奮起を願わんばかりです。
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