瓦の美しさ
小学校の夏には夏の学校という海での生活が待っていて、水泳や海の好きな生徒には、親と離れて自由になれる解放感とともに年間のだいじな 行事でありましたが、私は水泳というか海の遊びにさほど興味がなく、どちらかと言えば苦手な行事でありました。
それでも、毎日、一日中泳いでいるばかりでなく、スケジュールの中には現地の散策や地元の生活見聞もあって、私はどちらかというとこれが楽しみでありました。
この写真は民俗学の宮本常一さんが撮影した美しい日本の風景です。1960年の撮影で場所は山口県・室津と記されていますが、この景色は全国どこの漁村でも見られた平均的なものです。この頃から一気に高度成長に拍車がかかって、この美しい瓦の屋根も勝手気ままな色が花咲くカラートタン屋根などに変わっていきます。
ところで、今上天皇の結婚が1959年(昭和34年)でしたが、東京や大都市圏ではカラーテレビが飛ぶように売れて、屋根からはトンボのようなアンテナが立ち始めましたが、この写真を観るとまだテレビも普及していない様で、アンテナそのものが殆ど立ってませんから、いっそう美しいと認識してしまうのでしょうか・・・。この時代あたりから日本の風景は加速度的に洋風に急変しはじめ、私が週末に同級生と自転車で走り回っていた1963年頃には、建設ラッシュの象徴・ダンプカーが朝から晩まで砂埃を巻きながら、至るところを走っていました。
さて、1965年に北原謙二さん(1939~2005)の歌った『ふるさとのはなしをしよう』という歌謡曲は、メロディの美しさもさることながら、歌詞から浮ぶ景色が丁度、この写真にぴったり・・・といったところです。http://jp.youtube.com/watch?v=nXqVO8gQNcg&feature=related
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