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2008年10月31日 (金)

エッセィの宝庫・アルプ 特集 串田孫一

Rimg13828 Rimg13834 まったく気付かずに一年以上経っていたとは・・・。

2005年に亡くなられた串田孫一さんの追悼本 『アルプ 特集 串田孫一』が昨年刊行されていたのです。亡くなられる前に既に『アルプ』は廃刊となってしまい、存続していれば当然ながら串田さんの特集号は創文社から刊行されてたのでしょうが、時代はそう思うようにならず、有志の情熱により昨年山と渓谷社から、出版されたのです。そのタイトルも『アルプ 特集 串田孫一』とオマージュらしく洒落ています。この創文社による『アルプ』こそ、1958年から1983年まで串田さんが主幹として心血を注ぎ、山・旅に関わる珠玉の随筆・写真・スケッチなどを編みこんだ、実に優雅で剛毅な一面をも併せ持った、真の大人の雑誌でありました。父がこの雑誌の常連執筆人だった辻まことさんと知己であったことから、1960年代から父の書斎の片隅に、この雑誌がきちんと並んでいました。まだ若い頃でしたからさほど気にもせずパラパラと捲っていた程度でしたが、独特の余白をもった贅沢な構成と差し込まれる山の写真に、大人の知的な薫りを感じ取っていました。

生前の串田さんを識る63人のアンソロジーでまとめられたこの特集号は、昨今の醜い時代状況の中で少し心の洗濯をしたいというう方にこそ相応しい一冊ですし、ある時代の素晴らしい文体のみごとさも見逃せません。その中に、辻まことが串田さんの文学について、「多くの人には理解できないことかも知れないが、串田さんの文学は、戦争の文学であって、戦場の荒廃した焼跡の死から新しい生を証明した一輪の花なのだ。」と言いきっています。人が考えもしなかった切口を発見する達人・辻まことさんならではの、感性の鋭さをこの一冊から新たに認識しただけでも、私には嬉しい一冊です。

アルプ特集串田孫一 Book アルプ特集串田孫一

販売元:山と溪谷社
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