1872年にモネの描いた『アルジャントゥイユ駅』というタイトルの絵は、モネにもこんなモチーフがあったのか!と思わせるほど力強い駅の風景です。
まるで朝の始発を待つような時間帯を思わせる色のトーンが見事で、ややもすれば、重厚感に溢れてしまいがちなハードな世界を、モネらしくソフトな印象に昇華しています。ドイツのプロレタリア・アーティストが好みそうな舞台を、筆勢も大胆に表していますが、ここもモネらしい色のコントラストで柔らかく抑えています。
汽車の煙と雲との混ざり具合にも独特の構成力を感じますし、よくもこれだけの平凡な舞台を自分なりにドラマティックに、ソフトに表現したものであります。
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