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2008年12月13日 (土)

虎屋・冬籠(ふゆごもり)

Rimg15062 和菓子の意匠には、万人にも分かりやすい具体的形もあれば、その飛躍した感性の凄さについて行くことの出来ないシュールリアリズムのような形もあって、そのいずれも、NIPPONが誇るべき、日常の芸術と呼んでしまっても、言い過ぎではないでしょう。

京都・東京の老舗と呼ばれる和菓子屋さんは、殆どが毎月二回生菓子の販売展開が替わり、各店独自のネーミングと造形・彩りを競っていて、同じモチーフでも全く意表をつく老舗もあって、一年中、その想像力のせめぎ合いがデパ地下で楽しめます。

さて、今月15日まで虎屋では冬の到来を告げるテーマの生菓子が六種類販売されていますが、白眉はこの『冬籠』と呼ばれる一品でしょう。何しろ最初に作られたのが1773年以前という遠いお話ですから、由来自体がもう幻のようなものです。「長い冬の寒さに耐える草木のさまを紅色の羊羹製で、降り積む雪を山芋のそぼろで表しました。雪の下でじっと春を待つ生命を感じさせます。」という解説にあるように、草木の部分を紅色と見立て、そこに、集中力のある限りを入魂したかのような繊細な雪模様がちらついて、凡人には捉えきれないアバンギャルドなセンスでありますし、紅色自体が春の兆しを象徴し、季節推移までひとつの生菓子に取り込むなど、強烈な歳時記遊びの感性としか云いようがないのです。

西陣織のような繊細な感覚さえうかがえるこの逸品を、新宿伊勢丹の地下・虎屋カフェにて抹茶と一緒にいただきました。

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