モネ・水辺の絵
『アルジャントゥイユの船着場』と題されたクロード・モネの描く美しい一枚です。1874年に制作されたものですが、これもどこか日本的絵画の印象さえも残る作風です。全体をさらっと描いた軽いタッチに日本人の多くのファンを惹きつけるのでしょうが、大胆な筆勢の中に刻々と移り変わる時の推移がみごとに捉えられていますし、雲の間から西日が輝いていて水面に反射している様が。素晴らしい瞬間を掴んでいます。
1871年から1878年まで、モネはセーヌ川沿いのアルジャントゥイユという町で暮らしていましたから、この町をモチーフにした作品が多い訳です。
この画面いっぱいに広がる水辺を海と勘違いされる方も多いようですが、れっきとしたセーヌ川であります。また、画面手前にある正方形のような形をした船は、モネが自ら改造してアトリエとして使っていたもので、ここで寝泊りしながら水辺を凝視していたからこそ、晩年の睡蓮シリーズのみごとな作品に繋がっていったのでしょう。日暮れ時のけだるい気分までもを描ききったモネの手腕に、ただただ感服するのみであります。
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