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2009年2月23日 (月)

宮田重雄展・築地パレットクラブ

Rimg16754 Rimg16763 Rimg16761 Rimg16765_2 Rimg16769_2 イラストレーター原田治さんのブログ  

 http://d.hatena.ne.jp/osamuharada/ で知った宮田重雄さんの展覧会が、築地・パレットクラブ http://www.pale.tv/ で3月1日まで開催されています。(会期中は休みなしですが、オープンは午後1時から7時までですから、ご注意を!)。

宮田重雄さんは本業がお医者さんで、油絵や挿絵は余技でありますが、その余裕から編み出される品の良い線描は、会場の壁一面に展開される獅子文六のユーモア小説「青春階段」の一枚一枚を通して、優しく飛び込んできます。この小説は市川崑監督により映画化されているほどの人気でしたが、今や忘れられた感があります。

ユーモア小説という純文学の対極にあるサブカルチャーカテゴリーは、その時代の風俗や嗜好をたんまりと盛り込まれていて、今だからこそ、きちんと評価されるべきものであると思うのですが、日々起こる現実の方がユーモアを超越し滑稽であるという事実もあり、なかなか思うようにはいかないものです。

宮田重雄の挿絵には昭和20年代後半から30年代の風俗や光景を、その空気までが画紙に吸い込まれたごとく鮮やかに描かれています。この展覧会をプロデュースされた原田治さんによると、宮田さんは銀座・新橋・向島などに出向き、きちんと取材スケッチをされていたそうですから、やはり、そのリアリティが、こちら観る側にもストレートに届くのです。

この時代の風俗は写真・映像に数多く記録されているものの、シンプルこの上ない筆と墨で描かれた、宮田重雄の挿絵ほどの臨場感と時代のもつにおいが、感じられないのであります。銀座四丁目界隈を描いた源氏鶏太の小説「流れる雲」の挿絵に見られる夕闇の晴海通りなどは、もう哀愁たっぷりなのであります。

なお、会場には毎日、原田さんが中央の大テーブルで宮田重雄さんの遺されたデッサンやスケッチなどの整理をしながら、解説もしていただけるという、普通の美術館では在り得ないような贅沢感を味わうことができます。

さらに、会期中は毎日、概ね午後5時から映画「青春怪談」の放映もあるという、時代考証も愉しめる中身の濃い展覧会なのです。

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