デュフィの筆さばきに料理されると、パリの風景も一層、パリらしく、一捻りある洒落た画趣に転換してしまいます。フランスの国旗・トリコロールを隠し味にしながらも、赤の占める面積を極力抑えていますし、市街地画面には、よく観れば細かい仕事ぶりもあって、いかにも、デュフィ自身が、この画面を自由自在に遊んでいることが分かるようです。さらに、白い雲の配置と大きさ、そしてトーンが、絶対バランスを以って、フレンチ・ウルトラマリンブルーを引き立てています。
画家というよりも、装飾家の経験も永いデュフィの緞帳の下絵からは、劇場の遠くから、どう見えるかを計算に入れた、プロの仕事ぶりが窺えます。
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