安野光雅のスイス風景
何処か安曇野地方の早春里山風景にも見えてしまう安野光雅さんの水彩スケッチは、スイスの田舎を描いたものです。
安野さんの色調には日本人好みののしっとりとした湿度感があって、霞がかった柔らかな画面があるからこそ、多くの人を魅了するのでしょう。今は放送してませんが、NHK・FM放送『日曜談話室』を聞いていると、安野さんがその会話のやりとりからして、どちらかと言えば人付き合いのお上手な人ではなさそうですから、やはり独りで景色を描いているのが性に合っていそうです。
この画趣は和紙に描かれたような滲み効果があるようですが、れっきとした英国のWHATMANという270年間も作り続けられている水彩専用紙です。グレーの階調が奥行きのリズム効果を作り出し、さらりと一気に仕上げた、いかにも、せっかちな安野さんらしい一枚です。
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