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2009年4月 5日 (日)

父の虫眼鏡。

こっそりとRimg11085 父の書斎に入って机の抽斗を引くと、それがガラクタであっても、こどもにとって全く未知の世界が展開しているようで、早く大人になって自分も書斎を持ちたいと思った方も多かろうと存じます。

私の父は何でも捨てられない人で、机の抽斗には、マッチ・コースターは勿論のこと、ちょっとしたメモ・名刺・筆記具・切手・クリップ・輪ゴムなど、勝手気ままな性格そのままに、ごった煮のように何でもかんでも、埋まっていました。

この虫眼鏡は小学校・低学年の頃から、気に入っていたもので、子供にとっては、レンズから通して見える拡大された世界は、普段と違う、不思議な世界を見せてくれました。ごった煮状態で埋まっていた抽斗の中で、唯一、周りのモノとは違う、光り輝くモノとして感じていました。この虫眼鏡を通して、特に新聞などの印刷物は網点となって見えること、カラー印刷ですと、複雑に色が重なっているからこそ、無限の色が可能であることなどを、知っていくことになりました。父は、出版関係の世界に戦後から昭和40年代まで、どっぷりと関わり、そのおかげで、若い頃から視力も衰え、これを愛用せざるを得なかったのです。

この虫眼鏡は、父が昭和19年に報道班員として南京・桂林などの前線を取材していた頃、名取洋之助の『名取機関・上海事務所』に出入りしていた上海で購入したものですが、たいへん健全・シンプルなデザインで、象牙で出来た部分が、子供の頃から、妙なつまみ心地の良さの印象がありました。レンズは研磨のいい加減なもので、覗けば、微妙に揺れ動く、大陸的精度のものですが、私には、そのいい加減に揺れ動く世界こそが、昔にリバース出来る序章のようなものなのです。

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