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2009年6月30日 (火)

広重・大橋の大雨

Photo Photo 急に立ち上がった暗雲が一気に隅田川を跨いでしまい、大橋を渡る人々はとっさに手に入れた傘やら、米屋あたりでただでもらったようなムシロを被って逃げ惑っていますから、強烈な雨のようですし、川が生む風も一層冷たさを感じます。

何故か奥の風景が薄い淡色であしらわれ、更に角度をもってますから、ラジコン・ヘリで撮影したような臨場感があって、画面に動きをもたらしています。

それにしても、広重が発見したといってもよい、雨を直線で描く手法は、いまも漫画的表現として定着し、画面を観て直感的に全体の趣きと気配を一瞬のうちに把握できてしまうセンスには・・・、ひとこともありません。

今も新大橋を隅田川越えするときに、この版画のレリーフが目に入りますが、隅田川が湾曲しているところにあるこの橋は、スケールの大きさからして、なかなかの絶景であったに違いありませんね・・・。

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2009年6月29日 (月)

アルフレッド・ウォリス『二隻の帆船』

27 1930年頃に描かれたアルフレッド・ウォリスの油彩によるこの絵には他には観られないほど、雲の表情が豊かです。船員として数多くの航海を経験した記憶を後になって一気に描き出したのですから、その記憶力には驚嘆するしかありませんね・・・。

その辺にあった厚紙の地色であるイエローオーカーを効果的に使い、暴れんばかりの筆勢による雲の表現は、実際に猛スピードで動いているようで、気持ち良い風を浴びている帆船の感じが伝わります。

まともな絵画の教育を受けなかったことが幸いして、この力強い絵画が誕生したのでしょうが、ご当人はまったくそんな絵画表現・芸術性とは関係なく、ひたすら記憶を辿りながら、航海の臨場感を表そうとしていたのに過ぎなかったのです。

30センチx50センチほどの小品ながら、画面からは空間スケールの広がりを感じざるを得ないのです。

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2009年6月28日 (日)

明治中期・日枝神社より赤坂を望む

Photo_13 ベアト撮影と言われていますが、定かではありません。明治の中頃に撮られた一枚でありますが、まだこの時代ですと完璧に江戸の風情がたっぷりであります。

この手前の川のように見えるのが外堀で溜池と呼ばれていました。今、溜池といえば交差点の印象しか御座いませんが、この時代はまだ赤坂見附からの外堀一帯を称していました。今は、弁慶橋周辺に僅か、昔の名残が残っています。

右奥には紀之国坂に面して赤坂離宮と思しき洋風の建物が確認できますが、この写真の撮影場所といわれる日枝神社との距離がずいぶんと至近に感じますね。

Photo_14 やがて、政財界のお歴々が夜な夜な情報交換と称してお遊びに興じていた時代がこの溜池の向う岸で展開され、昭和30年代には日本一の高級歓楽街となったわけですが、あっけなく1990年代後半には跡形も無くなっていきました。

この時代の話は安部譲二さんや、亡くなった百瀬博教さんの遺した著作を読んでいただくと抱腹絶倒とスリル・サスペンスが入り乱れて、赤坂のスリリングな日々が記録されています・・。

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2009年6月27日 (土)

ケアン・テリア便り

Rimg20597 01今日(26日)は久しぶりの暑さでしたが、 からっとした天気から忘れられたような毎日が続き、愛犬「プリン」も、何となくだるいようで、ぴりっとしません。この日、都心で用事を済ま、家に戻る途中、芝公園に入り、しばしの休憩をしました。

この犬種は元来がスコットランド地方で石積みの中に潜んでいる鼠を追い出すのが特技といわれ、そのせいか、石のブロックような素材を見つけると、それまでの素振りとは違った落ち着かない行動をし、やたら尻尾を振り、まさに鼠を待っているかのような姿となり、その目つきまで攻撃的なものに急変してしまいます。

車を路上駐車場に置いて、かなりの蒸し暑さを逃れ芝公園に飛び込み、、公園内のコンクリートの擬似木製ベンチで熱いからだを冷やし、しばらくすると、ごらんのようなご機嫌な表情であります。この公園は、東京タワーの真下に近く、地形も周辺の造成地と異なり江戸時代とほとんど変らず、その冷気も極めて冷たく、夏場の都心に一緒に出かけるときは必ずと云って良いほど立ち寄る定番スポットであります。ただし、この公園に流れる冷気の元が、周囲の気配からして、霊気なのかも知れませんが・・・。

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2009年6月26日 (金)

純粋なる形象・BRAUN社デザインの心得

Rimg20802 Rimg20806 Rimg20807 Rimg20808
  1. 簡単なことは複雑より素晴らしい。
  2. 秩序立っている状態はそうでないものより素晴らしい。
  3. 静かな声のほうがうるさい声より素晴らしい。
  4. 目立たないことのほうが目立つことより素晴らしい。
  5. 小さいものは大きいものよりいい。
  6. 色が無いことは、色がありすぎるよりもいい。
  7. 軽いほうが重いよりいい。
  8. 繊細なほうが粗雑なものよりもいい。
  9. バランスの取れた状態のほうが極端な状態よりいい。
  10. 持続性のほうが変化することよりもいい。
  11. 簡潔なほうが複雑な状態より素晴らしい。
  12. ニュートラルなほうが攻撃性のある状態よりいい。
  13. 近くにあるほうが近くにないものよりもいい

妙なおまじないのように見えますが、この13箇条こそ、あのBRAUN社のデザイン総帥・ディーター・ラムスのコンセプトです。現在のApple社のデザインや無印良品のデザインマネージメントにも多大な影響を与え続けていて、今後も、この教典は散ることなく連綿と近代デザインの本柱として、光彩を放っていくことでしょう。今日の「変ること」を前提とした多くの生活関連用品に囲まれている中、「変らないこと」に拘り続けたディーター・ラムスの仕事を一堂に観て、だれ切った世俗にまみれてデザイン稼業をしている者には背筋を叩かれたような一撃が府中市美術館http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/Rams/index.htmlを出ても続きます。

「デザインの前に宗教心と愛」・・・、これのない情報消耗だけの商業デザインばかりが跋扈する渋谷区・港区の業界関係者には観て貰いたいものの、府中市美術館はちょっと、遠いのであります。

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2009年6月25日 (木)

日比谷交差点・1952

1 写真:ディミトリー・ボリア

GHQ本部があった第一生命ビル方面をMP司令部のあった帝国生命ビルから撮影したものです。この年、1952年 http://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/year/1952.html にGHQが撤収して、この日比谷通りにも往来の活気が戻ったようです。

まるで上海のような雰囲気ですし、写真からも排気ガスとビルから立ちこめる煙で見通しも良くなさそうです。それでもさすがに丸の内のテリトリーですから走っている乗用車も立派なものばかりで、アメリカ・ドイツの比率が特化しているようです。

それにしても、歩いている皆さんの場所が奇異に感じますが、これは画面のもっと左にある路面電車の停留所に向かう人、降りて来た人のようですけれど、かなり危険な横断としか言えませんね。

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2009年6月24日 (水)

大学キャラ・・・、いろいろ。

Rimg20766 自転車で東京都内を走っていると、様々な大学の前を通りますが、最近どうも、各大学の顔ともいうべきシンボルが変りだしたことに気付きます。

今朝(23日)の朝日新聞には、このような広告が掲載されていて、これを観るだけでも、そのマーク・シンボルのバラエティーに驚きます。どこの大学が発端というか先鞭をつけたのか分かりませんが、変えたことによって、ただでさえ減り始めた入学希望者にひと目でわかるようなインパクトのあるデザインが多くなっているような気配がありありです。大学が法人化して経営センスを問われ、毎年の客数(入学者)アップは経営陣の最重要項目となり、そこに大手広告代理店の付け込む余地でもあったのか・・・、一寸目には何処の商業施設なのかメーカーなのかと混乱しそうなデザインで溢れ、所謂、旧来からの大学のもつ正統性が失せ、ぱっと目に付けば良いというレベルのものが多いのは、相当、気になるところであります。

方や、媚を売るような方向など我が大学は無縁とばかり、創立者のオーラを頑なに護っている大学もあり、時代の流れとはいうものの、複雑な心境であります。

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2009年6月23日 (火)

広重・雨の悲しさ

1201_3 Bui安藤広重の特許画法と呼んでも差し支えない雨の描写は、その冷たさまでもが観る側に浸み込むようなスーパーリアリズムであります。

この描かれた土山は現在の鈴鹿峠を下りて甲賀市に向かう途中の町で、雨で水位の上がった川はおそらく野州川から分かれた田村川ではないかと思われます。今も一年を通して降水量の多い地域で、この絵からも大雨に耐え忍ぶ武士の一団が哀れな姿を露呈しています。

途中の景色を省略し、時間さえも超越する日本画の伝統的画法は今渡っている橋にも及んで、先の見えない不安な侍の心理状態までを、表現しようとしています。広重の雨は単に気象だけでなく、雨のもつ、もの悲しさまでを取り込んでいるからこそ偉大なのです。

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2009年6月22日 (月)

木製のキッチン雑貨

Rimg13832 最近の家庭雑貨の中でも、キッチン関連の商品は、妙に、彩りが鮮やかになり、抽斗にぶちこんでさっと見つけるには具合良いのですが、レンジ周りに出しっぱなしにしていると、周囲の色と干渉して、落ち着きがありません。特に、イタリア・アメリカの商品に顕著で、造形的にもキャラクターグッズの様相を呈し始めています。

そんな折、駒沢公園脇のショップで見つけた、この二点などはだいぶ以前からあったものですが、その価格とともに、優しいデザインです。レモン絞りとスパゲティのグラム数を計る他愛ないものですが、正直な姿なのか、店内のお客さんが必ずといってよいほど、手に触れています。今の時代感覚としてスローフーズが脚光を浴びていて、若い世代を中心に、和食の見直しなどが雑誌を賑わせて、日本の伝統的家庭雑貨が見直されていますが、このイタリア・フランスの地中海に近い地域で使われていた道具も違和感無く、日本の台所にも溶け込みそうです。

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2009年6月21日 (日)

毎日ただひたすら・・・。

Rimg20485 しばらく続いた商品化計画の煩わしさから解放され、気分を落ち着かせるために、水彩画を描いてみました。私は、身の回りのモノやファッションを描くのが気休めであり趣味ですが、この日グラビア雑誌に掲載された花を手本に数枚、一気に描くあげてみました。しかし、どうも小さくまとまってしまいます。というよりも、対象物をデフォルメしたり、抽象化する勘がさび付いてしまったのかも知れません。さらに、普段から愛用しているDaler-RowneyとWinsor&Newtonの水彩を久しぶりに使ったのですが、色の調合の按配も忘れがちで、こまったものです。このふたつの会社の水彩は発色に微妙な違いがあって、Winsor&Newtonは伝統的な英国の色調で彩度がアンダー気味ですし、Daler-Rowneyは水彩絵具では今や一番人気となっている鮮やかな発色が売りです。両社の特に、赤系、グリーン系、茶系は同じ色名でも全くニュアンスの異なる発色をするので、最近は二社の固形水彩を一緒に並べて調合して使っています。

何ごとも、地道な日々の積み重ねであることを、教えられた、曇り日の早朝でした。

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2009年6月20日 (土)

エドワード・ホッパー『ケープ エリザベス』

Ed4 澄み切ったメイン州・エリザベス岬の風景を切り取った画面は、誰もが憧れてしまう風景です。

ほんとうでしたら、もっとパノラマ展開の画面をお願いしたいところですが、意外と自分で大きな紙を自分の好きなサイズで描こうとした画家は少ないのです。確かに今のように車に画材を放り込んで好きな景色の場所に出かけていくという方は少なかったでしょうから、既成のスケッチブックを小脇に抱えて、軽装で出かけたのでしょう。それとカメラも大衆化する以前でしたから、この絵を描いたホッパーにしても、全面に広がっているであろう、壮大な景観を自分の手で記録することなど考えも付かなかったのかも知れません。しかし、イギリスのジョン・ラスキンをはじめとするヴィクトリア朝の自然観察派の画家の壮大なパノラマ風景のスケッチは遺されていますから、ひょっとするとホッパーにもパノラマスケッチが遺されていたとすれば、観たいものです。

このメイン州エリザベス岬も、ヒッチコックの『鳥』のロケハンの候補に挙がっていたような気配が漂っていますが、それはあまりにも勘繰り過ぎかも知れません・・・。Cape_elizabeth

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2009年6月19日 (金)

長閑な景観

1509

画:安野光雅

東京都・町田市をはじめとして、全国各地の自治体・市民団体が積極的に進めているフットパスの推進運動ですが、http://www.japan-footpath.jp/せめて、東京オリンピック前の多摩丘陵が乱開発される時期に、この運動が持ち上がっていれば・・・、などと、ぼやきたくなります。

高校時代、自転車でほぼ毎週末、久我山から深大寺経由で、鶴川街道に向かい、読売カントリークラブから柿生界隈に出ると、そこは辺り一面の長閑な景観が展開していて、それを独り占めしていました。周囲にはコンビニなどあるわけなく、フロントバッグに詰めたおにぎりと50,000分の一の白地図だけが頼りでした。現在の青葉台界隈の景観はどうだったか記憶にありませんが、周囲の景観とさほど変わりなく、安野光雅さんの描く穏やかな英国田園風景とうりふたつであったことは間違いありません。当時、一番の大敵はパンクで、乗っていた自転車はスポーツタイプながら煉瓦色の太いタイヤがついていたのですが、道路舗装工事の絶頂期でもあり、自転車ごと小石に掬われ横の部分からパンクになることが多かったのです。予備としての準備は怠り無かったものの、チューブが横に大きく裂けることも何回かあって、ヒッチハイクで自宅まで帰ったことも一度あり、快適な道を風を浴びながらご機嫌気分であっても、そのトラウマが頭を横切るのでした。

やがて、宅地開発のエリアとして、地形はすっかり変り、その里山風景も一変してしまいました。

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2009年6月18日 (木)

広重・庄野 白雨

1301 高校時代の夏の自転車トレーニング最中には何度となく強烈な夕立に遭遇して、雨具の用意を怠った仲間のために全員が進行することもできず、店の軒先などを拝借しては雨が静まるまで一休みといったこともありました。その頃、先輩に夏の夕立のことを俳句の季語では『白雨』と言うのだ・・・と教わったのであります。

今のようにベンチレーションに優れた雨具などなく、その上自転車用のポンチョなどは大袈裟過ぎるほどのデカさで、うっかり車にでも巻き込まれたら大事故間違いなしといった代物ばかりでした。いずれにせよ、雨具の内側は体温で上昇して汗だくながら外は冷え切った状態ですから、柔な男はこんな雨を一発食らうと、情けないほど衰弱してしまうのでした。今のような、人に優しい体育会ではありませんでしたから、仲間に弱い素振りなど見せるわけにもいかず、自助回復の術を自ら生み出す以外なかったのでありますから、ずいぶんと乱暴な時代でした。

さて、広重の傑作として名高い『庄野 白雨』では、突然の雨に大慌ての駕籠かきや旅人の様子を躍動感を以って表わしてくれています。震えるほど冷え切った身体に追い討ちを掛けるように降り注ぐ夕立そのものは、刷毛で薄墨をさらっとなぞった程度なのですが、奥に見えるグラデュエーション・シルエットの竹薮のありようが強い風と急激に冷えている気温さえも象徴していて、この後さらに雨足がひどくなる予感さえもこの版画の中に封じ込めています。

この『庄野 白雨』は東海道シリーズ中、抜群の広重独自の感性によって、みごとな気象空間の掌握術が展開されています。

さて話が飛躍してしまいますが、You Tubeで『雨』を検索してみますと・・・、あるものですね・・・。http://www.youtube.com/watch?v=4rpHhnKuyQw

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2009年6月17日 (水)

ささまの季節表現

Rimg20622 Rimg20613 Rimg20617 いつも仕事で使っているチェック用の色鉛筆を購入するため、神保町・文房堂に出かけました。丁度、昼休みということもあって、すずらん通りはビルからこぼれて来るように勤勉な皆様がランチラッシュに奔走していました。この界隈も神田駅周辺のように、安い・速い・旨い、というフランチャイズの飲食店が席捲しだし、コインパークのスペースがやたらと増えています。この界隈は駐車場が少ないため、料金も一時間あたり800円というのが通り相場ですが、どこも満車の様子です。

文房堂を出て、本屋をちらほらしましたが、目ぼしいものに出会えず、いつものように、ささまに向かいました。この時季は梅雨の気配がメインテーマである和菓子業界でありますが、此処ささまは、独特の意匠センスが格別で、ご覧のような展開をしています。川底に流れる小石をみごとに清流として表現した『玉川』、雨に濡れるしっとりとした『紫陽花』、刈入れ前の稔った麦畑を表す『麦秋』など他所の店では観られない感性にいつもながら感心しまくりであります。渋すぎず、華やかすぎず・・・、この店の季節生菓子の姿には違うジャンルのデザインをする者にとって、押さえどころや主張の引き際など、勉強させられること多大であります。

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2009年6月16日 (火)

鈴木信太郎・瀬戸物屋 1930年

39 1930年(昭和5年)に奈良旅行をした鈴木信太郎は奈良の街を散策中にこの瀬戸物屋を見つけ、その店内に高密度に納められたありとあらゆる瀬戸物の迫力に魅せられてこの作品を仕上げました。

どうやら、小売店というよりも産地問屋に近い業態のようで、皿・鉢・土瓶から火鉢・便器までと、今では見かけなくなってしまった品物が店内にぎっしりと詰まっています。

奥に見える白い皿に掛かっているばってんのようなものは荒縄だと思いますが、この縛り方は1970年代までは、残っていたはずで、百貨店の陶磁器のセールともなるとこの荒縄で縛られた産地直送の和陶磁器が、ごっそりと納品されて、解くと細かい縄の綻びがそこらじゅうに飛び散っていました。

さて、この店は相当立派な佇まいのようで、多治見から四日市などの産地から厳選された比較的高品質な品物を扱っていた雰囲気に溢れていますが、今も健在なのでしょうか・・・。暖簾に見られる○徳工藤と脇の提灯が奈良の老舗の気配充分であります。

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2009年6月15日 (月)

エドワード・ホッパー・寂しき街角

Ed21 Ed20 エドワード・ホッパーが、都会のダイナーに集まる人の孤独感をみごとに表わした1942年の名作『Nighthawks(夜更かしする人)』には都市のもつ空虚さ・疎外感が、観る者に迫って来ます。広告マンのような雰囲気の男性が独り、肩の微妙な線からは何かあったのか、もしくは何か起きようとしているのか、様々な憶測を観る側に委ねるように、奥深い謎ときのサスペンス感さえ漂ってくる絵画です。

デッサンをご覧になっても、ホッパーは人間の細部の微妙な角度や、店の外観・店内の機器にいたるまで、相当な気合を入れてこの絵に取り掛かったようです。それにしても

きっとこの孤独な紳士に気兼ねして、暫く沈黙・無言の空気の中、この店の初老のような従業員が男女と何か話しを切り出した瞬間を切り取った、四人の人物の位置関係が素晴らしく、まさに映画の一シーンだ・・・と言っても過言ではないでしょう。

それもその筈で、この絵は実際もう少し横長で,そのサイズは映画のビスタビジョンのものと同一だそうですから・・・。こと左様に絵ひとつとっても、トリミングのさじ加減によって意味が全く違ってしまいますね。やはり周囲の環境が見えてないと、この絵のもつメッセージが半分も伝わって来ません。

0eh91

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2009年6月14日 (日)

広重・堀江ねこざね

Photo ここは、江戸川の河口である。鴻の台から10キロほど南下した地点である。この狭い流れは、江戸川の主流ではなく、江戸川から東南に分かれて江戸湾へ注ぎ込む境川である。向こうの江戸川には2艘の船が、帆柱だけを見せている。右側の集落が猫実で、左側が堀江になり、川に架かる手前の橋は、境橋である。うしろの橋ともども今も残っている。
 魅力のあるこの絵は、シリーズがはじまった安政三(1856)年二月の改印のある5枚のうちの1枚である。他の4枚と同じように、描かれた場所は、江戸の住民には一応知られながらも遠隔の地であった。千住大橋のような交通の要所、洗足池のような宗教的意味のある場所と違い、堀江・猫実の場合は、江戸っ子の好物のあおやぎなどの貝の産地として有名な場所であった。
 江戸湾に近いこれらの集落は、台風や津波によく襲われたが、土地の名前によく現われている。例えば、猫実という名前には、豊受神社(右手の木立のなか)近くの堤に植えられた松並木の根を、波が越さない(根・越さぬ)ようにとの願いが込められているという。もう少し確かな地名の由来は、明治二十二(1889)年に猫実と堀江の両村が合併される際に、「浦安」という名前が選ばれた経緯である。初代の村長が、この地を安心して住める浦にしたいと願って村名を選んだそうである。
 20世紀になると、埋立てが進み、浦安は沖へと拡大を続け、現在ではこの絵の場所からへ東へ3キロ、南へ2キロあまり陸地がせり出している。その先端部には、東京ディズニーランドがある。現代の東京のまさに名所になっている。
 近景には、鳥の猟の様子が描かれていておもしろい。堀内讃位の『鳥と猟』(昭和二十年刊)を参考に鳥のかたちおよび猟法を考えてみると、ここに描かれた鳥は、浜に棲む千鳥のなかまの大膳であろう。味がよいとのことである。猟師が千鳥無双網を砂に隠し、千鳥笛を使って鳥を呼び寄せる。頃合を見て綱を引いて、網を引き起こし鳥を包むという猟法である。日本では肉食は禁じられていたが、この戒律は、2本足の動物には適用されなかった。江戸では、野鳥の肉が盛んに取り引きされていたのである。
(ヘンリー・スミス『名所江戸百景』)

というわけですが・・・、この辺り、今では東京ディズニーランドに席捲されてしまった地域であります。洋風化の勢いは1960年以降、衣食住を含めてすべての日本人に極めてハイスピードで浸透してしまい、1980年代からは全国都市の商業地域からはじまり、その勢いは遂に銀座の顔である老舗の誇りさえ変えてしまいました。もうここまで来てしまったならば、ブレーキは効きそうにもありませんから、天変地異を願っているという善からぬ輩の念力でさえ、「まあ・・・、それもありかな!」などと思ってしまいます。

それほどこの国の姿がへんてこりんに成りだしたわけですから、ここは何方かカリスマが国の導き方を一気に品位のある方向へと切り替えませんと、ジャンクな国に成り下がりだした急降下の様相を止めることが出来そうもありませんね・・・。

ある団体の皆さんが明治維新によりもたらされた欧風化を見直す動きがある一方、江戸時代の町のありようを再評価しだしたり・・・など、至るところで『日本のこころとかたち』を再考しだしたようであります。

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2009年6月13日 (土)

デュフィーの緞帳下絵!

Dufy18 デュフィーがパリの劇場に使われる緞帳の意匠の下絵として描いたものです。室内装飾の図案も得意でしたから、いわゆる、南フランスの太陽さんさんのモダンな表現と異なりますが、これはこれで、なかなか密度の濃い、洒落た構図となっています。

パリのもつメランコリーでコスモポリティックな雰囲気が良く表れています。開演前・幕間にもこんな素晴らしい緞帳を目の前にしていれば、愉しい会話も弾むというものですね・・・。バラやその他の花の絵は、画家というよりも装飾職人としての表現となっていますね。雲の表現がモダンに処理されていて、デュフィーのアートディレクターとしてのセンスも垣間見ることが、できます。

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2009年6月12日 (金)

ギターも工芸品!

Taylor3 Taylor2 Taylor1 ギターの世界にも新旧交代の波があるかどうか知りませんが、御茶ノ水の楽器屋を何軒か覗いていると、そんな気がしてしまいます。国内メーカーも大手から個人製作まで増えているようで、ある楽器屋などは個人製作者をコレクションしているようですから、私世代のオジサンが金に糸目をつけずに買い漁っているのでしょうか。安いものは売れず、ひっくり返るほど高価なギターがこのところ売れているということですから、オジサン達も元気なのでしょうか、それとも奥さんには内緒でこっそりと・・・といったことなのでしょうか。

相も変わらず、マーティン( http://www.mguitar.com/ )・ギブソン (http://www.gibson.com/ )を筆頭とするメガ・ブランドも、ビンテージものから新品までよく売れているそうですが、私などはちょっとひねくれていますからTaylor (http://www.taylorguitars.com/ )の他とは違う形の趣に魅かれてしまいます。綺麗な仕事はなんとなく漆器のような風情もあって、いわゆる伝統工芸品の仲間入りをさせてもおかしくないのでしょうが、日本では工芸品を取り巻く人絡みは派閥からしてアナクロもいいところですから、それは無理な話というものであります。ましてや軽音楽に関係する道具というジャンルなど、未だ、もってのほかという素晴らしいほどの閉鎖・守旧だけが生きがいな村社会なのであります。

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2009年6月11日 (木)

ポラロイド写真

Rimg0122 1970年代からちょっと前まで、広告撮影のチェックに欠かせないのがポラロイドカメラで、これで撮影したものを現場に立ち会うクライアントに了承してもらうたいへん便利なツールでありましたが、今ではデジタルカメラの登場で状況は一変したものの、ポラロイドのローテクな写真の画風はファジーなだけに和みのあるものとして、今でも愛好者がいらっしゃるようです。

なかにはポラロイドのピンホール・カメラ http://www.polaroid.co.jp/support/pinhole_weblink.html の面白さにはまってしまった若い世代の方などは、密かに町を探索しては、ベストスポットを発見してわざわざ写真撮りを愉しんでいるそうです。

以前、横尾忠則さんの日記を本にした一冊を観る機会があり、それを観ますと至るところにポラロイド写真を貼りこんであって、コラージュとしても見事な出来栄えでありました。少し機材として大振りな為、気軽にというわけにもいきませんが、日記代わりとしてはデジカメより遥かに人間ぽい偶然の為せる表現が生まれ、趣味としても優雅なものではないか・・・などと思い始めました。

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2009年6月10日 (水)

知らない事の多い東山魁夷さん。

06大阪府立国際児童文学館蔵

東山魁夷さんが、学生時代にアルバイトとして描いたこんな絵本があったとは・・・。『コドモノクニ』1930年5月号に掲載されたものです。

知らないことは、この世の中、いっぱいありますね・・・。

1930年、東山さんが東京美術学校在学中に描かれた作品で、伝統的日本画画法としてタブーであったコントラストの強い黒影が、くっきりと描かれています。

その後、1933年から1936年までドイツ留学と、普通の日本画家とはちょっと路線の異なる青春を謳歌し、西欧絵画をしっかりと眼に焼きつけたからこそ、日本画のありかたを含め独自の境地を開拓していったのです。

その後は、皆さんご存知のとおりです。

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2009年6月 9日 (火)

鈴木信太郎・西荻窪 こけし屋

Rimg6326 私の以前住んでいた久我山から真北方向にある西荻窪・荻窪界隈には、地元に愛されているお店が数多くありますが、その中でも歴史の長さでは、この西荻窪・こけし屋でしょうか・・・。

吉祥寺が今ほど隆盛を誇る前、中央線に住む文化人・学者がたむろしていたこの店は、独特の文化の薫りがしていて、子供の頃、父に連れて行かれたときの珈琲と紫煙の香りを、今も印象深く覚えています。当時は店の至る所に立派なこけしが置かれていて、子供ながらにもフランス的な店内とこけしとのミスマッチな雰囲気が気になっていました。

この鈴木信太郎画伯が描いた、こけし屋の包装紙は、以前のものと色合いが異なるようですが、それでもこの店の過ぎ去った文化の薫りを、辛うじて護っているようです。西荻窪には小さな飲み屋などが点在していて、吉祥寺から一駅でまったく違う大人の町という印象をずっと持っていましたが、最近は、下北沢系とは一線を画す、洒落た骨董屋も増えて来ましたし、エコロジーの隆盛を追風に、益々、オーガニックなライフスタイルに合った商いが勢いを増しているようです。

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2009年6月 8日 (月)

日本の感性が動き出した。

Rimg20309 Rimg20311_2 Photo 01 先週の3、4、5の三日間、東京ビッグサイトで開催されたInterior Life Style展は国内外の生活関連の商品を中心にしたトレンド性を占う意味でも面白い展示会でした。この種の展示会は年に何回も開催され、似通ったテーマも多く、出店社も重複し鮮度に欠けていると囁かれますが、やはり現場に足を運ばないと、その空気感を掴むことが出来ません。又、この二年ほど前から徐々に、日本の独自性を前面に押し出した個人商店や地域プロジェクトが目立ち出し、年を追うごとにその内容と商品のレベルも洗練されてきました。これまでのモダンでシャープな頑張りすぎの趣きは殆ど消え失せ、伝統技法を現代的にソフトにリファインした、軽ろみのあるやさしい傾向が目につきます。

素材的にも、アルミ・錫・真鍮・鉄鋳物・木竹 などのハード系から和紙・絹・織物などのソフト系まで、たっぷりとあって、この広い会場の隅から隅まで掌握するのは至難の業でありますが、伝統の職人技を現代感覚にブラッシュアップしているところは何処も輝いて観えたのは私だけではなさそうでありました。方や、外国ブースは日本の精緻な技法と比較できないお粗末レベルのものばかりが目立ち、北欧の伝統である自然素材を使った商品以外、相変わらず無難なクラシックスタイルも多いのですが、客も少なく通り過ぎるばかりで、このスタイルは終止符を打つ時期が来たようにしか映りません。

たしかにトレンドは現代生活に適した伝統産業の活性化なのですが、国内のカジュアルなリビングショップや郊外アウトレットにはカラフルなリビングアイテムが多く、そのカラー設計は例のユニクロと同じくケミカル性が強すぎて、只の色彩実験・検証をしているのでは・・・、などと勘繰られそうな状況です。このような状況の中、もうひとつの旗頭としての日本のキャラクターとして、村上隆さんや若い世代が生み出すセンスアップされたコミックキャラクターがリビング分野にも参入して来そうな気配を、自転車徘徊していて目に入る若い世代の様子から感じるのであります。

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2009年6月 7日 (日)

上手い具合です。

Rimg19102 Photo 自転車で本郷通りを北上し、東大構内を散策していると、ひっそりと遺されている旧前田侯爵邸『懐徳館』西洋館跡の煉瓦基礎部分に、雑草が育っていて、煉瓦とのカラーバランス、異素材感覚があまりにみごとでありました。基礎としての役目を終え、ひっそりとしているこの煉瓦にとって素材感だけが浮き上がり、雑草とのハーモニーなどに情緒を見出す人間の居ることなどは全く予想しなかったことでしょう。

この感覚は今様利休好みといっては言い過ぎでしょうが、ものの栄枯盛衰を飛び越えた何か絶妙なコントラストであり、作為のない偶然から生じた構成には脱帽であります。

しばtらく観察したあと本郷通りを南下し丸の内方面に抜けると、三菱一号館の再生された姿が登場。こちらは、ピカピカの新品仕様のようで、どこかのテーマパークに紛れ込んでしまったような錯覚さえ覚え、さらに背景の高層ビル群との美的按配が異常で、皇居や青空を背景に浮かび上がっていた堂々たる往時の姿を、想像することさえ出来ません。

おそらく明治同時期に建てられたであろうふたつの物件のその後の経過は、戦前・戦後の関係者の都合や天災に翻弄され、現在このような違いはあるものの、「もの」のもつある種の限界というものを示唆してくれています。

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2009年6月 6日 (土)

英国風景 

20 048 おそらく江戸時代の掘割や大川の支流なども、このイギリス・ノーフォーク地方のような景観であったに違いありません。

イギリス人の生活のもつゆっくりとした豊かさは、経済面よりむしろ旧きものをそのまま連綿と遺し続けるジョンブル魂にその根幹があるのかも知れません。

夕暮れ時期の美しい風景は、たまらないほどの静けさを伴って迫ってきそうですし、自然の発する音以外は全く聴こえず、ひたすらボートを漕いでいる方は、自分の今後のあり方などを十二分に考えるゆとりさえありそうです。

すっかり静けさを失った東京ではありますが、最近は神田川などのボートツアーが人気だそうで、その理由が普段観られない視線からの景観であるということです。残念ながら治水護岸のために、美しい景観は期待できないものの、徐々に、昔の姿に戻ることが出来れば、それに越した事はないですね。

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2009年6月 5日 (金)

1926 冠松次郎撮影 剣大滝を囲む大岩壁

1926 冠松次郎氏が大正15年に撮影した写真は、まるで掛け軸のようなサイズです。当初はどのように撮影したのかと思ってましたが、よくみると中央部分で繋いでいて、四つ切サイズの二枚重ねであることが分かりました。

それにしても、素晴らしい写真です。南画のようなプロポーションもさることながら、陰影のコントラストといい、大瀑布http://www.geocities.co.jp/Outdoors-Mountain/4753/hsk4m.htmは水煙しか見えず、その臨場感は轟音さえ聴こえてくるようです。

時代は優雅な大正時代から軍部が跋扈する時代への転換期でもあり、優雅なアルピニストなどの行動は、軍部にも睨まれていたに違いありません。全員の恰好もハイテク素材などなんのその、高価なツイードジャケットと思しき姿など、クラシックな薫りがこのロケーションとみごとに合っています。

冠松次郎

「黒部の父」と称され日本アルプスの未踏の山域に多くの足跡を残し、山岳紀行文でも知られた登山家・冠松次郎(1883-1970)は、明治16年2月4日に東京で生まれた。

   日本アルプスが開拓されていない明治末期、家業の質屋を経営するかたわら、登山に熱中する。誰もが高い山への登頂を目指していた頃、冠松次郎は流行に背くかのように、黙々と渓谷美を訪ね歩いた。明治44年、松次郎は白馬岳に登り、祖母谷を流れに沿って下り、初めて黒部峡谷に入った。さらにその最奥部にある幻の滝と呼ばれた剣沢大滝遡行に挑戦した。十字峡の命名者でもある。それらの体験記を発表し、著書は昭和3年「黒部渓谷」を刊行したほか「渓」「立山群峰」「黒部」「剣岳」「渓からの山旅」「峰・渓々」「廊下と窓」「雲表を行く」「山渓記」など20冊を超える。(ケペル先生のブログより)

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2009年6月 4日 (木)

和菓子の意匠・青楓

Rimg16626 「傘にすけて擦りゆく雨の若葉かな  杉田久女」

 初夏の若葉は、その木が何であってもみずみずしさにあふれている。肌に爽快な風を受けて立つと、その同じ風に若葉がきらきらしている。

 単に「若葉」という以外に、個々の木の名のついたものがある。萌黄色で艶のある柿若葉、若葉が伸びると黒ずんだ緑の葉を落としてしまう椎若葉、樫若葉、常緑樹のんかでは最も美しい樟(くす)若葉、楓若葉なども季語に取り入れられている。他に初夏の緑を謳う言葉には新樹、新緑があり、日本人は光に満ちた夏空に、あふれる若葉を楽しむことが好きである。北から南まで若葉の新鮮さに覆われ夏は盛りに向かう。(和菓子づくし 講談社刊より)

京都の和菓子の老舗・上村義次http://www.hpmix.com/home/suhama/T1.htmによる、州浜生地http://www.hisaz.com/sweet/kyoto/7.htmlの楓若葉を落雁生地にあしらった逸品です。落雁生地と州浜生地との地肌のコントラストといい、乳白地に映える新緑色といい、箱を開けて目に飛び込む爽やかさといい、この小宇宙に冴える景色のみごとさ・・・、これこそ、和菓子の真骨頂なのであります。

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2009年6月 3日 (水)

美しい表情・スクラッチタイル等

Rimg7088 Rimg7163_2 上は、大田区池上台の住宅街にあった物件です。おそらくは、戦前から在った住いの外壁に使われていたスクラッチタイルでしょうが、これまで見たことの無い美しいターコイズブルーの 色彩がみごとです。この建物を壊す際に、思い出として新しい塀の中にこのタイルを埋め込んだものと思われますが、白い塀とのコントラストもみごとで、日本的な印象よりむしろ南仏の印象といったところでしょうか・・・。場所柄、戦前の建物はさぞ、素晴らしい意匠をまとっていたに違いないでしょうが、このスクラッチタイルの表情というものは、本当に美しいものです。

この数年の間に、古い建物が取壊されていて、このスクラッチタイルを使った建物もずいぶんと姿を消してしまいました。最近の建材には見られない重厚感と表情の豊かさは格別で、このタイルを使った建物があるだけで、街に風格が保たれます。

下の写真は鳥居坂・国際文化会館の北側にある石の塀ですが、こちらはみごとな層を成しています。スクラッチタイルのような人工的意匠とは対極の、自然界の力そのものでありますから、黙っていても強靭さが伝わります。

それぞれ、今はもう観られない建築資材・素材であります。

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2009年6月 2日 (火)

吉祥寺 懐かしの通い道

02 01 年に何回かは、その懐かしさもあって吉祥寺に行きますが、たいていは、東急界隈の新しい店を徘徊するに終っていました。そこで先日、急に思い立ち45年前まで通っていた学園方面に向かって歩きました。当時は駅から大正通りをほぼ毎日歩いて通ってましたが、高校になると久我山から吉祥寺まで自転車で通い出し、五日市街道・井の頭通りがメインのルートとなりました。自転車ですと直線距離にして5キロ程ということもあり、30分弱で到着してしまいましたし、帰りに立ち寄れる店や場所も見つけ、生まれて初めての自由な解放気分になれたのです。

さて、東急デパートから藤村女子校を抜け、大正通りを直進すると、すっかり変ってしまった住宅街の何処かに、昔の薫りがする箇所はないものかと思いつつ徘徊三昧していると、ありました・・・。このような生垣のいかにも武蔵野風情満載のお家が・・・。以前はこのような生垣の家が殆どを占めていたと記憶してますが、今はほんの僅かのようで、残念でありますが、剪定その他の手間とコスト、そして安全面から、この風情をなくさせてしまったのでしょうか。懐かしいランドマークに再会でき、しばし、自分を高校時代にリバースすることが出来ました。

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2009年6月 1日 (月)

細野晴臣さんのうしろに。

01 30日の朝日新聞夕刊に、『追憶の風景・東京』というテーマで細野晴臣さんの写真と記事が載っていて、この人特有の時代を切り取るセンスが、世相の細かい部分と消えていく街のありようにも言及していて、まるで、私が自転車徘徊を通して掴んでくる世間の潮流とかなり同じ志向性のあることに、気付きました。さらに、細野さんの音楽作りは「思い出せない夢をなんとか思い出そうとする作業に似ている。郷愁が僕の力の源泉だよ。」「これまで、サウンド重視で来たけど、ギター一本でいい、メロディーとコードとことばがあれば、ほんのり幸せな音楽は作れるって改めて確信したよ。」と書いているとおり、今後も追憶と郷愁を通して、シンプルで長閑な曲趣を紡がれることでしょう。

それよりも気になったのが、ギターの左に飾られた一枚の額装された写真です。これは間違いなくカントリーミュージック界の不世出な歌姫、Pasty Clineであります。細野さんが彼女のポートレィトを飾っているくらいですから、相当、インスパイアされる何かがあるに違いありません。彼女は1963年、30歳で飛行機事故で亡くなりましたが、その歌声はYou Tubeを通してかなり多くの曲を再現することが出来ます。観念的にいえば、細野さんと対極にある感性の彼女が何故、このような場所に飾られているのか気になるばかりですが、最近の細野さんの音楽作りには、http://dwww-hosono.sblo.jp/隠し味として、1950年代から60年代のアメリカン・ミュージックの薫りがリファインされていて、その中にはたしかに、カントリーミュージックのエキスも散らばっています。

Pasty Clineはその堂々たる体格から歌い上げる伸びのある高音もさることながら、スローな曲をやや低目から歌い始める感性も抜群です。きっと、細野さんは偶然にも彼女の歌を聴いて、直感的にぞくっと来たのでしょう。彼女の歌声にはそれだけの惹きつける何かが溢れているのですから・・・。http://www.youtube.com/watch?v=b35SkJdDGV4

http://www.youtube.com/watch?v=5j4zTtMFwW4&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=bmLS_jkxPRs&feature=related

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