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2009年6月18日 (木)

広重・庄野 白雨

1301 高校時代の夏の自転車トレーニング最中には何度となく強烈な夕立に遭遇して、雨具の用意を怠った仲間のために全員が進行することもできず、店の軒先などを拝借しては雨が静まるまで一休みといったこともありました。その頃、先輩に夏の夕立のことを俳句の季語では『白雨』と言うのだ・・・と教わったのであります。

今のようにベンチレーションに優れた雨具などなく、その上自転車用のポンチョなどは大袈裟過ぎるほどのデカさで、うっかり車にでも巻き込まれたら大事故間違いなしといった代物ばかりでした。いずれにせよ、雨具の内側は体温で上昇して汗だくながら外は冷え切った状態ですから、柔な男はこんな雨を一発食らうと、情けないほど衰弱してしまうのでした。今のような、人に優しい体育会ではありませんでしたから、仲間に弱い素振りなど見せるわけにもいかず、自助回復の術を自ら生み出す以外なかったのでありますから、ずいぶんと乱暴な時代でした。

さて、広重の傑作として名高い『庄野 白雨』では、突然の雨に大慌ての駕籠かきや旅人の様子を躍動感を以って表わしてくれています。震えるほど冷え切った身体に追い討ちを掛けるように降り注ぐ夕立そのものは、刷毛で薄墨をさらっとなぞった程度なのですが、奥に見えるグラデュエーション・シルエットの竹薮のありようが強い風と急激に冷えている気温さえも象徴していて、この後さらに雨足がひどくなる予感さえもこの版画の中に封じ込めています。

この『庄野 白雨』は東海道シリーズ中、抜群の広重独自の感性によって、みごとな気象空間の掌握術が展開されています。

さて話が飛躍してしまいますが、You Tubeで『雨』を検索してみますと・・・、あるものですね・・・。http://www.youtube.com/watch?v=4rpHhnKuyQw

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