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2009年7月 6日 (月)

1970年代の傑作広告

197011_2 1970年代前半の日本企業の傑作広告として、1972年、伊勢丹の「こんにちは土曜日君」があります。週休二日制がまだ一部であるものの、少しずつ浸透し始め、もっと健康に、もっと楽しい趣味を・・・などと百貨店の役割を物販至上主義から生活提案型にシフトチェンジしたエポックメーキングなグランドテーマでありました。http://www.isetan.com/icm2/jsp/isetan/company/2005_activity_pdf/26.pdf このテーマに決定するまでは、伊勢丹宣伝部とライトパブリシティの喧々諤々なバトルロイヤルのデスマッチがあり、そこには両社の思惑というより、顧客・時代の流れを敏感に感じながらも突破口の掴めない苛立ちがあったのですが、土屋耕一さんの名文一行によって、目の前が急に明るくなったのです。

このグランドテーマを因数分解して、翌年の夏に「土曜日には汗をながそう」というマーチャンダイジングテーマに基づき、スポーツ売場のスニーカーから底面(そこずら)の良いものを選び、新聞広告を打ったのですが、社内的に大ひんしゅくをかったのであります。当時は新聞広告は広告メディアのキングとして燦然と輝いていましたから、「何で靴の底を見せなければならないのか」という大先輩のご意見が社内中を駆け巡りました。しかし、この会社は現場より経営陣になればなるほど若い世代の感覚を積極的に採り入れる社風があって、守旧派のご意見も知らぬうちにどこかに行ってしまいました。

百貨店業界の先鞭を切った、このような生活提案型広告は「買って下さい」という販売促進よりも「私の会社を愛して気に留めてください」という広報的役割を裏技として含んでいましたから、社内的にも理解の浸透まで時間を要しましたが、その後の伊勢丹の広告手法の雛形となりました。その後、1980年代、競争相手の西武デパートは広告業界のお歴々と最先端の尖った皆様を上手に束ね、クリエーティブ指向な広告展開と新しいショップ展開を牛耳りましたが、今や、両社とも静かになってしまいました。

さて、時代は大きな変換点となり、ことさら一企業が生活に関わるメッセージを訴求することなどは草食系比率の高い若い世代にはダサイの一言でしょうが、かといってただの商品広告・タイアップ広告に埋没していれば、いつになっても肉食系比率の高い代理店担当者に首根っこを掴まれたも同然なのであります・・・。

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