« 夏の漁港写真を観て思い出す。夏の学校 | トップページ | 波・Big Wave »

2009年7月24日 (金)

ジャズシンガーの寛ぎ!

204_2 いまや武井義明という名前を憶えている人は、どれほどいるだろうか。
終戦の数年後、日本は時ならぬジャズ・ブームに沸いた。
 とくに都会人は、すっかりアメリカかぶれして、それに呼応するように進駐軍(のちに
 駐留軍)のキャンプまわりをしていた即席ジャズメンは、日本人向けの桧舞台にも躍り
 出て、人々はスターシンガーやスターバンドに群がった。
それも一段落した昭和三十年代の初め、なみいるジャズ・シンガーのなかで、ひときわ
 光彩を放っていたのが武井義明だ。
 折からジャズ専門誌の《スウィング・ジャーナル》が主宰する歌手ベストテンでは、こ
 の人が2、3年間にわたってトップに推されていた。
やがて各家庭にぼちぼちテレビが入り始めた。あのころはテレビという言い方はあまり
 せず、テレビジョンか、人によってはテレベーションとも言っていたっけ。
 人気番組は、なんといっても力道山が暴れまわるプロレスであり、ジャズの演奏を交え
 た洒落たコメディも台頭していた。

 このジャズ交じりの番組に颯爽と現れたのが、男の歌手では笈田敏夫、柳沢真一、黒田
 美治、旗照夫などのほか、日本に帰化したらしいジェームス繁田、ビンボー・ダナウな
 どであった。
 女ではナンシー梅木、ペギー葉山、マーサ三宅、丸山清子、新倉美子などに、未成年な
 がら江利チエミ、雪村いづみも登場していた。
 大学に入りたてのころのぼくにはよく分からなかったが、これらのジャズ歌手はどこで
 学んだのか、英語の歌詞を器用に唄いこなしていたように思えた。邦訳の歌詞を交える
 ことも多かったけれど。

 とにかく、そんな歌い手がジャズ界に勢揃いしているなかで、ぼくにとっては武井義明が
 断然、光り輝く大スターだった。
 ミュートをかけたような甘く優しい声といい、歌の躍動感といい、加えてソフィスティケー
 トされた容姿……。本人は高知県出身だそうだが。
 アメリカから来日中の女性歌手が「ヨシ、ヨシ」なんぞと呼んで、彼と親しく話していたこ
 ともあり、ちゃんと英語が話せるんだなあと感心もした。

 武井義明が得意なのは、「虹の彼方」や「国境の南」で、聴いていると、行ったこともな
 いアメリカの大地を彷彿とさせるようだった。
 そうだ、そんなジャズやポップスが荒波のように押し寄せてきたことによって、日本人の
 多くは、アメリカへの憧れを醸成していったのではないでしょうか。
 近年のようにアメリカが病める国だなんて思ってもいなかっただけに、かの国に純真な憧
 れを抱いていたのだろう。

 話は武井義明に戻るが、確か昭和も四十年代になってから、その姿や歌声が忽然と消えて
 しまった。
 ジャズ学校を設立したなんて噂を聞いたような気もするが、少なくともテレビではお目見え
 できなくなった。
 いったい、どうしたのだろうか?
 いまや、幻のジャズ・シンガーか。(栗田英二)

昭和30年代のジャズ隆盛期に図抜けた人気のあった武井義明はオールマイティーな歌手でしたが、その控えめな性格が裏目に出て、あっという間にテレビからも消えてしまいました。小学生の頃、武井の口笛を途中ではさんだ『誇り高き男』という映画の主題歌は、今も頭の奥に残っていて、ソフトな歌声に、子供ながら感心したものです。この写真は1950年代後半に赤坂・テキサスハウスという今で言えば億ションのような住いで寛いでいる武井義明です。方や、手前に居る笈田敏男夫妻は、長く現役を続けられましたが、その理由は歌の上手さ以上にお喋りであったといわれてますから、何事も一つだけ秀でていても世渡りは難しいのでしょうね・・・。

|

« 夏の漁港写真を観て思い出す。夏の学校 | トップページ | 波・Big Wave »

コメント

私が10代に付き合っていた子の姉さんが熱烈なファンでした。淡路恵子と結婚したビンボウ ダナウ、レイモンドコンテ等と同一年代です。懐かしいです。

投稿: 青山要介 | 2012年6月 4日 (月) 午後 02時32分

テレビの黎明期によく登場してましたが、歌のうまさと発音のきれいさに、子供ながら感激していました。alpshima

投稿: 青山要介さま。 | 2012年8月29日 (水) 午前 07時16分

武井義明ねぇ・・思い出しました。そうです、あの頃はジャズ歌手と言われる人が数人よくTVやラジオに出てきました。笈田敏夫も旗照夫、柳沢真一・・いましたねぇ。
でも、英語の発音がピカ一だったのは何と言っても男では武井義明、女では雪村いずみでした。笈田敏夫に至っては英語はまるでカタカナ英語で最悪、よく恥ずかしくもなくあんな下手英語で人前で歌えたなぁ、と思いました。いやぁ、懐かしいですねぇ。

投稿: 片岡 悠 | 2013年3月12日 (火) 午後 02時32分

皆懐かしい人ばかり、目黒に住んでいた頃直ぐ近くにフランキー堺(当時はドラマー)、レイモンド コンテ、などが住んで、て,中学生なのにIt almost tomorrow,やYou be long to me,などカタカナ英語で覚えた記憶があります。

投稿: 青山要介 | 2013年11月 8日 (金) 午後 03時53分

過日 ジャズのメモリー番組で,レイモンド コンテの
クラリネットを聞きました。頭は禿げていましたが、素晴らしい演奏でした。I'LL SCARCH FOR HE TO INTERNET.

投稿: 青山要介 | 2013年12月 6日 (金) 午後 04時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/29019/8088385

この記事へのトラックバック一覧です: ジャズシンガーの寛ぎ!:

« 夏の漁港写真を観て思い出す。夏の学校 | トップページ | 波・Big Wave »