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2009年11月27日 (金)

東山魁夷・雪の金沢

05 父の故郷でもある信州に連れて行かれたのは1954年の春休みのことでした。

ツバメ号に乗って東京駅から名古屋経由で中央本線に乗り換えるのですが、初めて観る日本の地方の景色に何も言わず、ずっと窓越しに見入っていたそうですから、もうこの時分から、探索の芽生えはあったのかも知れません。

東海道線から見える景色は、灰色・茶褐色・漆黒・真っ白といった建物が殆どで、その周りを緑の森や、時々、神社なども見え隠れしていたように思います。ビルもさほど在ったわけでなく、ずーっと先まで見通せた景観からは、優しい風景であった印象が深くありました。なだらかな里山が連なる静岡県辺りに来ると、ラビットという名前のスクーターの広告看板が、麓をウサギが跳ねているように、延々と繋がっていたのが、今も印象深く記憶しています。

帰りは、夜、東京に到着したのですが、車窓からは、正に、この東山魁夷さんの描くような、ミッドナイトブルーに沈殿するかのような日本瓦の家並が連なっていました。家々から灯るオレンジ色のあかりは、暗い世界をあたたかく見せてくれ、東京に近づくにつれ、その灯りの数がぐんぐんと増えてくることが不思議でもありました。

やがて、テレビが普及し出し、トンボが群舞するようなアンテナが屋根の上を占めるようになってからは、落ち着いた風景が消し飛び、おまけにカラートタン屋根の普及がそれに輪をかけてしまい、収拾のつけようのない、お気に召すまま・お好きな色の氾濫となってしまい、秩序立った美しい町並みは過去のものとなりました。

さて、得たものもあれば失ったものもあり・・・、残念ながら、落ちついた人間が少なくなるのと同じく、落ち着いた景観も減ることはあっても、残ることは少ないのが現実なのです。それでも、時代の流れは、消え失せた美しい家・町並みを復興させようとする動きが各地で生まれはじめ、これまでの名所旧跡だけでない観光資源としても機能しそうな在り様です。

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