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2010年2月26日 (金)

湯町窯エッグメーカー 1950年代

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バーナード・リーチ、柳宗悦等の指導により、日本全国の民衆工芸産地や職人は作り手として誠実さという志の大きな影響を受け、現在も連綿としてそのDNAを引き継いでいるように思ってました。

最近、両親の荷物をしまった箱の荷解きをしていると、私が子供の頃、よく食卓に登場していた湯町窯のエッグベーカーが出てきました。昭和30年頃のものと思いますが、先日、駒場の民芸館に寄り、ショップで販売している同じものを見ると、その色具合から、絵付けのバランスなどなど・・・、全くの別物でありました。私の手元にあるものは、卵との質感の相性が抜群で、イギリス的なスリップウエアを越えた、素晴らしい素材感にみちていますが、現在作られているものは、はっきりいって色も褐色に近く、蓋に施された絵付けの姿、皿に描かれた同心円の感覚も違い過ぎて、残念ながら食卓で愉しむ器としてのオーラがありません。

こと左様に、日本の小さなものづくりの現場は一子相伝、口頭伝承的なところがあって、何かの拍子に伝承情報がぱたっと途絶え、そこからは二度と魁として作り上げた品位と気骨を取り戻すことも出来なくなってしまうのです。それは、どの現場にも凡そ存在することで、何らかの手法、例えば図録・指図書・絵解きなどを作成して自社製品の製造マネージメントを監理していないと、このような時代を経て、似て非なるものが平気で販売されてしまうのであります。因みに、湯町窯エッグベーカーで検索しますと、現在のものが分かり、その質感と釉薬の差は歴然なのです。http://amarantine2.blog46.fc2.com/blog-entry-216.html

父が購入し、50年以上経ったかと思われるこの器は二客しか残っていないものの、朝のトーストと珈琲に欠かせない、毎日のモーニング・マスターピースであります。ガスレンジの火力を弱にし器を暖めたら、底と内側にバターをやや多めに塗り、そこに卵を入れ、待つこと一分ほどで火を止め、後は蒸し焼きです。このとき、ほんの少し蓋をずらしておくと白身に気泡が入ることなく、実に美味しいトロ味の半熟が出来上がります。この触感と味はこの器の独壇場なのですから、せめて、その姿も、美しいものに戻していただきたいのであります。

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