モネの雲
1864年のモネが雲の表現を習作として残したものです。雲はその光とともに刻々と変化しますから、瞬時の見極めと、先読みが必須で、ジャブとストレートを打たせないボクサーのようなセンスが必要なのです。
沈み行く夕日に映える雲を瞬時に捉えたこの絵は、1920年代に三菱商事パリ支店長・久我貞三郎夫人の田鶴子にモネから直接贈られたもので、田鶴子夫人はこれを契機にモネから画家モーリス・ドニを紹介され絵画を習うこととなりました。
今のような時代では考えにくいほど、当時はこのようなお宝が日常的に直接やりとりされていたそうです。
雲の合間から輝くオールド・ローズのような色と草原の丘の対比がモネらしい柔らかさを秘め、間もなく輝くような夕焼けになる寸前の美しい一枚です。
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コメント
この絵を、祖父母の家の客間に見た子供時代の思い出があります。2007年新美術館の「モネ大回顧展」で久々に見ました。大切に思って下さる方がいらして嬉しく存じます。
投稿: 久我信太郎 | 2012年3月 7日 (水) 午後 09時28分
祖父母様にあたられるのですか・・・。この絵が大好きでカタログを拡大コピーして、壁にかけています。alpshima
投稿: 久我信太郎 さま。 | 2012年3月16日 (金) 午前 08時00分
本当にカンゲキです。そんなに想いをいれてくださるなんて。実物は吉祥寺に住んでいる叔父が所蔵していて、何号っていうんでしょうか、iPad二つ分位の小品です。風景画ですが抽象のようなところもあって、飾るのには丁度いいと思います。私はいま、沖縄の那覇市に住んでいます。東シナ海に沈む夕日の景色が美しいとき、この絵のことを思い出します。祖父の時代のノルマンディー海岸、私が子供時代を過ごした九十九里、いま沖縄の海、海洋が世界をつないでいるんですね。
投稿: 久我信太郎 | 2012年3月23日 (金) 午後 12時35分