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2010年3月 6日 (土)

安野光雅・イギリス

709 安野光雅さんは、その風貌とは相反して、優しい画趣の表現が得意で、世界のどこを描いても、生まれ育った津和野のようなしっとりとした雰囲気がどうしても滲んでいます。

このアイルランドの岩山にそそり立つ城にしても、しっとりとした湿度感があって、そこが、たまらないという方々が多いのですが、私はむしろ、安野さんの混色にこそ、湿度感全ての秘密のようなものがあるに違いないと思っているのです。この画趣にしても、実際は、もっと厳しく、削られたような岩肌なのでしょうが、実に、日本画のぼかし効果の筆勢のような感覚が残っています。さらに、城壁手前に見える芝生のような箇所の色味も、彩度を落として品の良いまとまりになっていているからこそ、この絵が、険しい対象を描きながらも、独特の充足感を放っているのでしょう。

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