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2010年5月 6日 (木)

1970年代の商品

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いわゆる、老舗呉服系百貨店とは一線を画していた伊勢丹は、小菅丹治社長の方針からか、アメリカのファッションデパートメントストアの考えを採り入れ、都市生活者をコアな客層の中心に据え、決め細やかな商品分類・男女子供のサイズ研究・商品試験の徹底化などを地道に構築していました。商売の中心となる婦人服分野ではいち早く研究所でパターンの取り組みが始まり、それは今日の国内のサイズの標準化に大きな貢献の足跡を残します。

一方、日常生活に関わるリビング分野でも、オリジナル商品開発の強化が図られ、まだまだ、生活用品の品質・デザインともにひどかった中、かなり先進的デザインが生まれだしました。インダストリアルデザインの魁のおひとりであられた小池岩太郎氏の肝いりで誕生した、「伊勢丹研究所・インダストリアルデザイン研究室」が旗振りとなり、売場担当者とプロジェクトを立ち上げ、店頭の商品を徹底的に洗い直し、共感する取引先とタッグを組んで誕生した中のひとつがこの卓上用品シリーズです。当時,高価だったアクリル樹脂を使い、精度の高い成形技術によって陳腐なガラスもどき、陶磁器もどきの商品であふれていた分野に、プラスチックの特性を正面から取り組んで商品化されたものです。

いかにも受けそうな観念的「女性好み」を商売の核に据えることはいつの時代も不変ですが、そんな些細なことよりも、美しく快適な日常生活を支えるデザインとして商品化されたのには現場の英断も大きな役割となり、これ以外のリビングトータルデザインの一連の活動と成果により、1969年の第15回・毎日産業デザイン賞『百貨店における商品デザインの組織的研究』を獲得することになりました。

それまで、モノのカタチの先進性を中心にノミネートされていた毎日デザイン賞で初めて「独自の思想・社会性」の考え方そのものが評価され、受賞となったのです。

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