水辺の一服。
炎天下のツーリングを体験した、1963年・夏の自転車合宿は、毎日、じりじりと両腕・両足が日焼けしていくのが分かるほどの強烈な陽射しに晒されました。渋川から吾妻渓谷を抜け、長野原に向かう街道は、まだ自動車の往来も少なく、所々未舗装で最悪な箇所とタイヤも吸い付かんばかりの抜群の舗装道路もありといった状況で、落胆と歓びが次々とやってくるなど、青春の心理そのままのように走り抜けました。吾妻街道に沿って流れる吾妻川も渓流のような姿の箇所もあれば、欝蒼とした樹木の中に溶け込んだ箇所もあったりと、移動していく場所によって、大胆な変化が付いて周り、その変化を味わうだけでも、愉しい経験でありました。
このフランク・パターソン氏の挿絵のような箇所も何回か登場し、私などは、その都度、そこで景色を眺めては、メンバーのひんしゅくをかっていたのですが、美しさの誘惑には堪えきれず立ち止まってしまうのでした。
治水・利水の名目でこのような天然な姿の河川の殆どが消えてしまいましたが、川を伝わってくる清風・涼風の柔らかさは森林のそれとは違うことも感覚的に体感するなど、風雅な感性も若い時代に養うことが出来たのは、今になって有り難いことであった・・・、と思います。
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