活き活きした線・・・。
小学校・夏の学校は、低学年の頃は箱根の学園寮でした。そこは芦ノ湖に面し、寮の裏を登ると一面の草原で、はじめて見るそのスケールの広さに喜んで、毎日、走り周っていました。背丈ほどある草原は、風にうねり、その様子は海の波のようなゆっくりとしたもので、夕方になるとさらわれそうな気配もあって、不気味な感じさえありました。
その草原の奥の方に、この挿絵によく似た山荘がありました。よく映画に登場する廃屋のような人気のない建物でしたが、その姿は子供の感覚としても、荘厳なイギリスのカントリーハウス然としていたのです。冒険心の盛んな男子生徒も独りでは怖いものの、何人かで覗きに行くと扉は空いたままでしたし、立派な暖炉の使われていない姿は、主人の居ない寂しいこの建物を象徴するかのようでした。
さて、熊のプーさんの挿絵画家である、アーネスト・ハワード・シェパードさんhttp://www.asahi-net.or.jp/~KA3i-mztn/shepard.htmの線描にはいつも感心するのですが、この線も活き活きとしていて、動いているようなのです。摘み草を楽しむ二人には陽射しもさんさんとしているようですし、箱根のように襲われそうな草原のうねりもなく、恐怖心などないでしょうから、羨ましい環境であります。
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