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2011年1月19日 (水)

カリジェの表現

0105 子どものそり大会のために、そりに素敵な飾り付けをしようと、協力するウルスリとフルリーナの兄妹。 ウルスリは、そりに飾る毛糸のふさを手に入れてくるようにと、フルリーナをふもとの村までつかいにやります。フルリーナは寒くて雪も降っているのにと、嫌がったのでしたが…。

『大雪』は、ヘンツの物語にカリジェが絵を添えた作品。
タイトルのとおり、冬に読むのにぴったりの素敵な一冊です。
おはなしの途中には、大雪に見舞われたフルリーナがなかなか帰ってこないという、はらはらどきどきする展開が待ち受けているのですが、 このあたり、頭で考えただけの描写ではなく、ヘンツとカリジェ、実際の山暮らしを知る二人ならではの、たしかな筆づかいに圧倒されます。
山の冬の、厳しくも楽しい子どもたちの暮らし。
この絵本からは、雪のおそろしさと美しさ、植物や動物たち自然の生き物のたくましさが、ひしひしと伝わってきます。

『フルリーナと山の鳥』と同じく、見開きの右側にカラー絵、左側にテキストとモノクロの線画がレイアウトされていますが、カラー絵の美しさは言うまでもなく、 ちいさく描きこまれたモノクロ絵も、見逃せない味わい深さです。

アロイス・カリジェが1955年に挿絵を担当した『大雪』は、50年以上経った今も人気の高い良質な絵本です。10歳の頃、父のアトリエに置いてあったこの絵本の原書をパラパラ観ていて、絵画集の絵とは異なる地方色豊かな表現と色使いに、惹かれていました。スイスの山村で毎年開催される子供のそり大会に向け、飾りつけする兄妹の些細なできごとの話ですが、カリジェの素朴で優しい絵の表現からは、スイスの豊かな村の風景が目の前に大きく展開していく力を感じとりました。原作者と画家との響き合いがみごとに納まった20世紀のマスターピースです。

今も私にとって、仕事中、ついつい手にとってしまう『良心の手本』であります。

大雪 (大型絵本 (2)) Book 大雪 (大型絵本 (2))

著者:ゼリーナ・ヘンツ
販売元:岩波書店
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