さらっと描いてみるのは難しい。
気に入ったイラストレーションなどをそのまま雑誌ごと保存しておいても、結局、捨てるときには未練なく「えいやーっ」とショッピングバッグに放り込んでしまうことが多く、あとで後悔しても既に遅し・・・、やはり、切り取って保管するに限ります。
古いブルータス誌には堀内誠一さんのスピード感あふれる一気描きのイラストが頻繁に登場し、デザインマーカー、クレヨンなどで描く透明感たっぷりな街の空気が伝わって、観てすぐその場に飛び込んでしまいそうです。
画材に得手・不得手のなかった堀内さんは、何でも使いこなし、自分の表現としてしまいましたから、どの画材を使ってもひと目で堀内さんと分かってしまいます。14歳で伊勢丹の宣伝部に入社し、チラシ広告から店内装飾に至るまで何でもやらされた経験が、自分のストックとなって、マガジンハウス黄金時代の雑誌タイトル作りから雑誌全体のアートディレクターまで職能のフル回転となりました。そんな多忙な中でも、自分の生き方のピッチを管理し、楽しい感性だけは錆び着くこともなかったのです。
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