あまりにあっけらかんとした色彩の輝きというものを、南仏もしくは沖縄ならいざ知らず、関東では見慣れていないこともあって、この絵のようなしっとりとした低明度・中彩度の色調に惹かれます。全体に被るようなパープルグレー気味のベースカラーが効いていて、補色関係に近いレモンと金魚が、一層深い色味を引き立てて、みずみずしさが伝わってきます。
銀の茶筒と、立てかけられた画集とのコンビネーションも日本的な寂び感覚に溢れ、おそらく、鈴木信太郎さんの身近にあったものを無作為に描いたにも関わらず、みごとに絵画として成立していますね。
それにしても、しゅーっと抉るように描いた金魚は、生きているかのようなバランスです。
コメント