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2011年7月26日 (火)

1949 Jacques Tati

1949_jacque_tati Jacques Tatiの傑作『のんき大将』http://www.youtube.com/watch?v=IXhRPnh1JSU の扮装で写っているのはご本人ですが、この人は長身ながら映画の中で頻繁に出てくるコミカルな動きが機敏で、しかもアメリカ映画に観られる表情のわざとらしさなどなく、アドリブかと思われる一瞬一瞬の決まりポーズが何ともいえない和みを与えてくれます。

もう一つの傑作『ぼくの伯父さんの休暇』http://www.youtube.com/watch?v=_92Cm8gl7Ls は、観る側のイマジネーション次第で美しい映像の展開を如何ようにも解釈でき、この「無意味の意味センス」が時代を経ても風化しない、ナンセンスな普遍性なのでしょう。

さて、この写真ですが、解体してしまった自転車を元にもどすことも出来ず、途方に暮れているニュアンスのポーズがイカシテいますね。しかも、ずいぶんと各部品のレイアウトに集中したとみえ、散々ダメだしを繰り返した結果なのでしょうか・・・、カメラアングルからは、Jacques Tatiさんの細部への尋常ではないこだわりが垣間見れますね・・・。

些細な話ですが、私も和菓子を小皿に載せて撮影することがあるのですが、皿の真中に和菓子を置いてもレンズを通すとまったく異なる構図となり、その収まりに数ミリ単位で四苦八苦しますから、これだけの部品同士の納まりが完璧であるということは、当然、Jacques Tatiの映画のワンシーンの小道具・小物の位置にも、同様な異常ともいうべきエネルギーが投入されていたということでしょうから、又、見直すべきシーンがたっぷりとありそうです。このあたりの極小細部世界における構図感覚は、日本映画の巨匠、小津安二郎・成瀬巳喜男・黒澤明も同様なのです。

大胆さと微細さを併せもつ映画の醍醐味は、このような目と手の研ぎ澄まされた感覚から生まれ出るものなのですね・・・。

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