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2011年7月 4日 (月)

私の食物誌

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以前、文庫で読んだ本を、単行本に買い換えて読むと、同じ文体であるものの、言葉以外から伝わってくるものが違うことに気付きます。装丁の力なのか、組版の違いなのか・・・、同じ情報内容であるながら、受ける側の印象は別物なのであります。

電子出版のトレンドは進化することはあっても、退化するなど考えられない時代となったものの、一冊、一冊の紙から伝わるものは違いがあって当然で、利便性と文化性の違いとでも云っておきましょうか・・・。

吉田健一さんの名著『私の食物誌』は昭和40年から46年にかけて、読売新聞に連載されたシリーズをまとめたものですが、高度成長時代のど真ん中の食に関わる和と洋の対比、慎ましかった日本食文化が洋風化に傾斜していく流れなど、吉田さん独特のユーモアとひねりを加味して、伝わります。日本全国の美味しいもの・旨いものに対して、このような視点・観点があることを改めて認識させてくれますし、言葉の達人として読み手に広がるイメージの拡散など、その文体の品格が素晴らしいのであります。

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