北斎・江ノ島と富士
江ノ島はかつて、このように引き潮時に渡るしかなかったなど・・・、知らない世代が主流を占める時世となりました。
広重に比べ絵師職人としての魅せ場を前面に主張したがる北斎ですが、その殆どはディテールに注がれ、この一枚でいえばさしずめ点描手法のオンパレード、といったところでしょう。
手前の源氏雲の位置など、いまいち納得できないのですが、この出来不出来の幅があるからこそ、北斎は飽きないのであります。もしも広重がこのアングルからの作品を描いたのであれば、もっと旅人をクローズアップさせ家並もデフォルメし、風俗絵として傑作を残したかも知れません。
源氏雲
雲文の1つで、絵画や文様の中を洲浜形に仕切って、雲がたなびいた感じを表わしたものです。「源氏物語絵巻」に使われたことから源氏雲と呼ばれるようになりました。雲に隠れた部分で時間や空間の推移を想像させ、さらに装飾的効果も与えています。
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