1900年 10月15日 日本橋 三井呉服店
昭和3年に東京駅・丸ビルと並び称された日本橋・三越の威容の建物が出来る以前の三井呉服店の姿です。広重の浮世絵でさえ、もう少し大きな印象をもっていたのですが、こうして写真を見る限り、さほどではなかったのです。この11年後には日本橋が大理石の真っ白な姿を現し、全国から観光客の絶えなかったゾーンの中ですし、右奥方面には富士山が末広がりを見せてくれていた場所です。商売繁盛、商いは益々末広がりといった日本一の吉祥場所は、今日もその威厳が衰退していませんね・・・。
1900年(明治33年)10月5日。三井呉服店・日本橋本店は座売りを全廃、全館を陳列場として開場(座売りとは畳敷きの広間で客に番頭が接客して、注文により土蔵から小僧丁稚に取りに行かせて吟味し販売すること)。 店内にはイギリスを中心とした洋服・服飾雑貨なども眩いばかりに展示され、それまで中流以上の守旧派顧客層で占めていた三井呉服店もすっかり様変わりとなりましたが、この撮影された日が正に、そのお披露目の初日というわけです。今と変らない野次馬か、普段は三井呉服店とは縁のない輩か、いっぱい取り巻いてますね。上得意の顧客は前日の招待で御買上げされて、このような雑踏のなかなどは、一切関わりないのでありました。
尚、下の写真に寄切室と書かれていますが、これは半端モノ販売や、セール会場という意味で間違いなさそうです。
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