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2011年10月18日 (火)

1927 鈴木信太郎 『静物』

1927 不思議なもので、知らず知らずのうち家の中にはモノが溢れ、納戸に仕舞い込んだのはいいけれど、そのまま、数十年もデッドストック化してしまっている御宅も多かろうと存じます。私は3年に一度Stock Taking(棚卸)をして、今後用のなさそうなモノは見切りをつけて、処分しています。当初は躊躇いがちで、取って置くことも多かったのですが、回数を重ねるうち、案外、サッパリして気分のよいことが分かりました。納戸にしまいこむのであれば、なるべく、部屋の中にコージーコーナーを作って自分の好きなモノばかりを集積すると、何となく、博物館展示のようにも観え、空間がキリリと締まります。

さて、鈴木信太郎さんが1927年に描いた画面からは、戦前の東京郊外の中流以上の家庭の薫りが漂い、描かれた品々に見入ってしまいます。手彫りの額縁など、シンプルな表現ながらこの画面に緊張感をもたらしています。

私が通っていた小学校の同級生の御宅が吉祥寺大正通り沿いにあって、そこは、大正時代からの古い木造住宅でしたが、佇まいの立派さからして、周りを圧倒していました。玄関を入りすぐ右手に洋間の応接室があって、南側の窓コーナーにはこの絵のような世界が展開していました。同級生の祖父が日本郵船の重役さんということもあって、イギリスの将校時計をはじめ、海外のクラシックな置物が点在していて、子供にとっては宝の山のように見えたものです。家族の代々の大切な品々を引き継いで飾る風習は、既に無きが如くでありますが、たまにそういう場面に出くわすと、伝承されていくアイコンのもつ強みを感じざるを得ないのであります。

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