太平洋戦争に突入したものの、ミッドウエィ海戦に於けるお粗末な指示系統の判断ミスが、その後の運命を決定づけてしまった年に描かれた作品です。世間は参謀本部の情報統制により事実を伏せられたまま、勝ちっぱなしを信じ、有頂天になっていたものの、直観力に神がかったものを持つ松本竣介は、既に荒廃した暗示のような世界を描いています。
画趣だけで観れば、透明でありながら荒々しい表現は、松本竣介の孤高の誌的世界であります。体制打倒などのメッセージしか描けない単純な左翼画家とは違い、美しくも寂寥感に溢れた混色の環境表現は、永田町の権力者だけが知っていた、ニッポンの実態を象徴しているようであります。
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