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2011年11月17日 (木)

日本橋 駿河町の夜景

Photo

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井上安治の原画の素晴らしさと、指定色の指示とダメ出しが厳しかったからこそ、それに耐え抜いた版を彫る職人、顔料を調合する職人が、このような漆黒の中の色彩を感じさせるみごとな作品などが生まれ育ったのでしょう。

シルエットで浮き上がった『為替バンク三井』のトーンがみごとで、この画面に深いスケール感が表れました。月とガス灯に囲まれ散策する人々に逆光が当たり、静かな中にも馬車の蹄音が乾いた音を奏でているのが聞こえてきます。

広重などから伝承する江戸浮世絵も、明治以後、町の風景も急展開し始め、いつまでも情緒的でなくなり、東京見物の烏合の衆も新・珍・奇を求めて押し寄せたのでしょう。井上の版画には、その新旧の按配がほどよく調合されていて、時の流れの無常観がせつなく表れています。

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