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2011年12月 1日 (木)

戦前の一橋界隈 松本竣介 『市内風景』1941年

1941_4

昭和16年に描かれた、神田一ツ橋・如水会館の裏側です。この作品の寂寥感には凄みがあります。時代は世界から孤立し、満州事変以来、長く軍部と外務省が対外政策でダブルスタンダード化した結果、戦争に突入した年です。

松本竣介という日本洋画史の宝が、東京の各地を歩いて描いた中の一枚ですが、実際の光景を踏まえたうえで、一気に飛躍し、何処にもない世界に誘う感性は、誰も描いたことのない独自な視線です。

エドワード・ホッパーと同様、都市生活の孤独感・虚無感をみごとに捉えていて、画面に引き込まれてしまい、虜となってしまいます。1950年代まで、東京都心も複雑な町の薫りが其処彼処にあって、私は、鉄の錆臭さだけが今も嗅覚として残っています。

このほかに神田界隈を描いた作品がありますが、松本竣介ならではの技術の確かさと現実から飛躍する光景の構成力は、今も新鮮であります。

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