2011年3月 8日 (火)

本郷 『瀬佐味亭』 黒胡麻ザーサイ麺

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本郷通りを本郷三丁目交差点から駒込方面に北上していくと、左右の谷からの風を受け、此処が尾根道であることを実感します。

久しぶりに世田谷から自転車徘走した日曜日は、天気予報ほどの暖かさを感じることもなく、まだまだ冷たい風に晒されると気分的にもイマイチなのでした。梅などはどこも五分咲き模様で、これでは例年より一月遅れの開花といってもよいでしょう。

さて、この本郷通りを何度も抜ける度に、いつもお客さんの途絶えない一軒の普通のラーメン専門店があります。『瀬佐味亭』という店名はラーメンにあまり興味のない私でも、覚えてしまう傑作ネーミングで、せさみ・・・セサミというごとく、胡麻味を売りにしたお店です。よくありがちなラーメンメタボな客層とは対極な上品な本郷の初老のご夫人や、独り静かなアラフォー女性などなど、勢いつけて暖簾を潜れば、そこは旧山手の懐旧の薫りに満ちています。

早速メニューを斜め読みし、狙い定めた黒胡麻ザーサイ麺を注文。まだ捌きもまだるっこしい新人スタッフに注文の品をニ回聞き返されたものの、周りの客筋も鑑み、ここはイラッとするところを押さえ、しばし沈黙。出てきたのは香りも堪らないこの画像です。麺は細麺、黒胡麻との絡みはベストチョイスで私は好きですね・・・。太めにカットされたザーサイは歯応えも良好。あっという間に頂きました。

この店は本郷三丁目を越え、一つ目の信号傍にあり、この内容であれば平日の混み様も凄まじそうですが、幸い、日曜開店すぐの滑り込みでセーフ。その後、ドヤドヤ・ガサガサと体育会の東大生の来店で、店内はむせかえるような男で一杯となりました。

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2010年9月19日 (日)

駒沢の胡麻おはぎ。

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お彼岸が近づくと売上が急上昇するのもご尤もなおはぎですが、最近は新ネタのようなまぶし材料が増え、一発狙いを目論んでいる和菓子屋さんも多い雰囲気があります。

和菓子の中で季節感もなく、地味すぎる姿のおはぎですから、堂々たる平凡を求め、ひたすら、小豆の品質と甘さに完璧を目指す以外、そして厳選したお米を使うこと以外、余計なことをしないで欲しいと思うのが本音であります。そして、一番大事なのは何といってもそのプロポーションであります。

玉川通り(青山通りの延長)を渋谷から二子玉川に向かうと、駒沢公園通りとの交差点が「駒沢」の信号です。ここを左折するとすぐ左手にある『飯嶋屋』 http://www.wagashi.or.jp/tokyo/shop/2209.htm は、この場所で1930年から80年に亘り、地道に地元密着型で信用を得ている大丈夫なお店です。私は、自転車で都心から帰る途中、ときどき立ち寄っては「お茶うけ」を買い求めます。胡麻をまぶしたおはぎは老舗の旦那も仰天するほどの美味しさではないかと独り合点してますが、味もさることながら、姿かたちも上品で、その程よいボリューム感が何の変哲もない皿に載せても、ぴしっと決まるのです。

町の小さなお店が、きちんとものづくりしているのは嬉しいことで、ちょっと自慢できる些細なことですが、やはり町の基本は「名物・名人・名所」が三役揃い踏みしていることなのですね・・・。

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2008年8月12日 (火)

高岡のユウカメロン!

Rimg11486 Rimg11481 Rimg11483 先週の水・木と、富山県高岡市に出かけ、新プロジェクトの方向を探る会議に出席しましたが、そのお昼に伺った「居酒」で最後に登場したメロンの味に、仰天しました。メロンは北海道・夕張の独占なのかと、思っていましたが、このみごとなカタチは「ユウカメロン」という種類で、今や、東北・北関東・の一部で栽培され出した種類だそうです。

その味と風味たるや、まったくこれまでのメロンとは別物で、和菓子にみられる和三盆の甘さにも似た、極めて、優しく透き通るような香りと味です。亭主が包丁で切ると、果肉全体から、じわじわと水分が染み出して、美しい漆の器とぴったりのハーモニーを奏でてくれます。メロンは和食との相性も良いですが、このユウカメロンは、姿・味・香りともに、これまでのメロンとは話にならないほどの、「和の絶品」とでもいえるでしょう。

いずれ、このユウカメロンが日本の夏の「ハイスタンダードな風物」となることは、手間を考えれば数に限度があり夢かも知れませんが、『幻の・・・・此処にあり!』、などとメディアがあおりたてること、間違いなさそうです。

高岡市でこのメロンを栽培する大井鯉一さんの職人技から生まれる逸品は、数も少なく、頂けるだけで、幸せな人・・・!、と言われるそうです。

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2008年3月28日 (金)

『鯛めし』三昧

Rimg7763 瀬戸内産の約二キログラムの鯛をさばき、焼いた中骨でとった出汁が肝となる。これに昆布出汁を合わせ、土鍋で炊く。米は石川県・加賀のコシヒカリ。身は薄口醤油と酒にくぐらせ、香ばしく焼く。こんがり焼けた皮の香りが米に移り、旨さ倍増。三つ葉を散らし、酢橘を控えめに絞れば味の変化が楽しめる。 『銀座 あさみ』の鯛めしコースより。

お茶漬けが器に口を付けてかき込む、はなはだラフな食事とすれば、鯛めしのような献立は、お茶漬けの兄弟のようなものであるにも関わらず、そうとう品の良い作法で頂きませんと、その風雅な香りやら旨みを味わえません。家庭で簡単に出来るといわれても、それぞれの材料の選択をひとつでもランク落ちさせてしまえば、全く別物となってしまいますから、ここは多少値が張っても、きちんとしたお店の正しい材料・研ぎ澄まされた段取りからしか生まれ得ない味わいに、溺れるしかないのであります。

この時節ですと、どこの料理屋も桜をあしらった料理で満開となるようですが、私は渋い鯛めしに撒かれた三つ葉のライムグリーンに早春を感じ、眩い新緑のうきうきする気分が近づいているのを前倒しにして、楽しむことにしています

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2008年3月18日 (火)

日向夏・日本の香り

Rimg7526 近場の八百屋から高級食材店に至るまで、何故か店の頭だしはフルーツと相場がきまっているようですが、この辺の経緯はいったい、いつ頃からだったのでしょうか・・・。

どれもがTshirtsにでも印刷すれば面白そうな柄ばかりのダンボールに入っている果実を見ていると、「元気・健康がすべてさ!!!、お客さん・・・」などと言われているようで、ついつい手を伸ばしてしまうのかも知れませんね。

さて、この日向夏という呼び名の日本というより宮崎産の果実は、程よい酸味と香りが海外産の柑橘系より落ち着いていて品がよく、さらに柚子とグレープフルーツの両方の香りと食感を混ぜあわせたような趣きのフルーツです。表皮の色もまさにレモンイエローですし、葉の付き具合は何となく和風の趣きです。ライムグリーンを帯びたこのイエローカラーは他のフルーツの色より一層抜きん出ていて、健康的で知的でなお美しいのです。

最近はこのフルーツばかりが、朝昼晩テーブルに登場するのでありますが、その控えめな香りがデザートとしても最適な気がいたします。

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2008年3月16日 (日)

世田谷のパン屋さん・Fortuna

Rimg7516 Rimg7529_2 若い頃と違って、新しいものにすぐ飛びつく好奇心も徐々に薄れてしまいがちな同世代の皆さんが多いのでしょうが、私の場合は仕事のサガとでも云うのでしょうか・・・、一応は今の流れのようなことを掴んでおくのも必要なだけに、雑誌のみならず、自分の眼と足で探して歩く地道な収集が趣味と実用を兼ねているようなものです。

世田谷界隈には数多くの、それも一軒一軒が自信を持って商っているパン屋さんが多いのですが、このFortunaというお店も以前から気になっていたお店ですが、世田谷自転車界のアイドル・高橋千晶さんもご推薦ということで拙ブログに掲載させていただきました。

世田谷通りを松陰神社商店街に入る信号附近にあるのですが、朝7時からの営業というのが嬉しいではありませんか・・・。国産小麦・甲斐北杜の小麦を使用しているので、ふっくらもちもちの食感と丁寧な成形の美しい仕上がりが気にいってますし、トッピングや挟み込まれた食材の厳選さも格別です。レーズンブレッドに使われるレーズン・チキンサンドの鶏肉・ハムサンドのハム・メロンパンの香り・カレーパンの締まった香ばしさ・・・など、どれもよくありがちなアイテムですがその上品さと味わい、そして値ごろ感・・・。朝の出来立てを食卓に載せて頂く小さな幸せ感というのも、なかなか結構なものです。

そしてあと何が足りないかといえば・・・、春に相応しいマイケル・マーティンマーフィーの美しいカウボーイミュージックhttp://www.youtube.com/watch?v=d2Q_89EL-jsでしょうか。

Fortuna (北杜の小麦のパン屋) 世田谷区世田谷1-10-19 コーポオオバ101 

                        電話:03-3706-1977 営業時間:7:00~19:00

                       定休日:火曜・祝日

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2008年2月29日 (金)

蕎麦 田園調布・兵隊家

Img_8135 Img_8136 駒沢から自転車でお気軽な練習ルートは、何と言っても『多摩川堤』に違いありません。しかし、ただ走るだけならば、多摩川に沿って行ったり来たりを反復していれば宜しいのでしょうが、そこにちょっとした『おいしい愉しみ』を加味すると俄然自転車のルートが変わってきます。年のせいなのか、最近ではお腹一杯いただくことなど考えも及ばず、専ら、『ニッポンの正しい食の嗜み』に傾倒しています。

多摩川を下り帰路に着くルートは、何を食べて帰るか・・・で決まりますが、やはり田園調布・兵隊家 http://www.heitaiya.co.jp/ という摩訶不思議な屋号の蕎麦屋さんが王道でしょうか・・・。此処、田園調布から環状8号線を越えた自由が丘・奥沢にかけては、どういうわけか美味しい蕎麦屋が空洞地域のようで、この店は値段とその内容が『誠実商売の志』にあふれ、時間次第では大賑わいとなってしまいます。

私はこの店の『鳥南蛮蕎麦』がお気に入りです。昨今の多くの蕎麦屋に観られる、いい加減な鶏肉の数・適当な出汁とは天地の差のある味と量感は、正に絶品で、今の季節には自転車で冷え切った身体を柔らかく温めてくれます。又、女将さんは店員さんよりもお年を召しているにも関わらず、その動きと気配りは機敏で行き届き、その捌きは観ていて気持ちの良いものです。

所謂、『蕎麦通』の方々がわくわくするようなタイプの店ではないですが、正しいニッポンの食と商道を体感できるお店としてお奨めいたします。夕方からは、酒を嗜むお客さんも多く、その品書きも豊富ですから是非・・・。また、場所柄ご相席のお隣さんが何処かで見たような人である確立も極めて高いですから、俗人としてはこちらも愉しみなのです。

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2008年2月25日 (月)

LUCCAの春

Rimg6855 Rimg6840 Rimg6831 Rimg6850 ようやく春らしい日差しも増えてきて、気持ちも穏やかになってまいりました。この日、久しぶりに世田谷にあるLUCCAにランチに出向きました。ご覧のような艶やかな外観のお店で、女将の独特なコーディネーションによる店内の装飾も、不思議な世界を遊ばせてくれます。今風のナチュラル感にあふれたオーガニック・レストランの対極をなす趣きでありますが、11時30分開店と同時に満席となることが多く、殆ど女性で占められるお客さんの中でぽつんと男独りでその独特な料理を味あうのもおつなものです。

この日は、若鶏のカレー・マスタードソース和えを頂きましたが、その酸味とカレーの薫りが醸し出すお洒落なエスニック風味に満足でありました。

モダンなシルクのカーテンからこぼれる柔らかな陽射しは、気分的にも明るくさせてくれますし、何しろ、他店とは比較にならないほどのボリュームと、丁寧な料理の味は、そのお安い値段からしてお店の道楽としか思えないほどです。

因みに、ランチは金・土・月のみ、という変則でありますから念のため・・・。

LUCCA  東京都世田谷区世田谷2-6-5 電話:03-3439-0611

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2008年1月31日 (木)

銀座・AGNI

Rimg6370 Rimg6379 Rimg6381 先週は神田・神保町で強烈ボリュームのカツカレーを新世界菜館で戴きましたから、しばらくカレーに関わりたくないな・・・などと思っていたところ、この日は打合せの後、一緒に案内されたのが銀座2丁目・プランタンの傍にある、Velvia館http://www.midcity.jp/velviakan/8階のAGNI http://www.sitaara.com/agni/index.html というインド料理のお店でした。

神田界隈の店が発する「元気な昭和の薫り」と異なり、こちらは「新しいアジアン・テーストの息吹」とでも云いましょうか・・・、ぐっとセンスアップされたモダン・エスニックな環境です。店内の壁もわざわざインドから運んだ宝石の原石が採掘される場所の土をベースにしているそうで、たいへん和む柔らかい趣きを発しています。

ランチは¥1,200からですが、わたしはチキンカレーをお願いしました。わざわざルーをそのつど作るそうですから、ちょっと時間は掛かりますが、出てきた料理はこのように美しくまとまっていました。チキンはタンドリー・チキンで、香ばしい出来上がりをすぐ食べられるのは、嬉しいことであります。場所柄、女性をターゲットにしたやや甘口気味の薫りも、鮮度のある香辛料やハーブを駆使しているのか・・・、繊細な味覚を楽しめます。ライスはレモングラスというハーブを隠し味としていてインド米と上手く絡み合い、その軽い食感とともに胃ももたれず、すっきりといたします。

此処は日曜もランチはやっているそうで、このビルの持っている高級感とは裏腹に、8階にある他のレストランも場所とメニューの中身を考えれば、リーゾナブルでしょう。この界隈のお洒落で、値段がそこそこという店が増えたことで、銀座の伝統的レストランも早急に営業戦力を組み立て直す時代なのでしょう・・・。

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2008年1月21日 (月)

新世界菜館・カツカレー

Rimg6210 神保町・御茶ノ水界隈は以前、カントリー・ブルーグラス系の音楽を扱う店が、それもかなりマニアックな領域に踏み込んだ品揃えの店が何軒かあったのですが、その殆どが閉店したり、新宿に移転してからというもの、ただ古書を探すだけの町となったしまい、様々なジャンルにおけるマニアックな店の動向を考現学できる密かな楽しみは薄れてしまいました。

最近は、この界隈に残された魅力は食の領域だけと思わんばかりに、食欲が落ちていないうち、美味しいと言われている店に入ることを、古書探しと同レベルの目的にしています。

この日は上海料理の名店・『新世界菜館』 http://www.sinsekai.com/ に空いてそうな時間を狙って、午後4時過ぎに入りました。ここは、上海料理の老舗でありますが、隠れメニューとしてはカレー系の料理が、マニアの皆さんに評判のお店です。以前読んだ『東京人』の川本三郎さんのエッセイにこの店のカツカレーが絶品!、と言う記事が記憶にあったので、この日はそれを注文しました。

店内は私一人の貸切状態でしたから、立派な調度品に埋め尽くされた店内の意匠がこちらに降りかかってくるようで、なんとも落ち着かない状況でしたが、持ってきたカツカレーを見て、さらにびっくり!。カレールーは皿から溢れんばかりですし、カツ自体も長さ25センチはあろうかという、巨大なものでありました。事前に知っていれば「全体を少なめに・・・」などとお願いしたのでしょうが、この日は、空腹感もありましたので、この巨大なカツカレーと格闘いたしました。普段からメタボには気を遣うようになってますが、この日は気合を入れて食することとしました。ルーの味は中華スープをベースに円やかに品よくまとまっていて、刺すような辛さはありませんから、この私でも最後まで何とか完食することができました。

店を出て、苦しいお腹周りを馴染ませるためにすずらん通りを徘徊しているうちに、不思議なことに、あっという間にすっきりとしてきました。

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