2009年11月20日 (金)

1970年代 伊勢丹の力

197009 24 1970年代の伊勢丹は、商品・広告ともに他のデパートを引き離した独自のコード(ディレクション)を持っていて、そのメニューは1950年代後半からのファッション・リビングを中心とした基礎サイズデータと商品分類手法が大元になっていました。揺るぎないファッションリーダーの百貨店としての評価を得る70年代の成長期には、社会変化や世相をも伊勢丹風に味付けした新聞広告と連動したオリジナル商品展開が続きました。百貨店はマーケットインの代表的業界にも関わらず、自らのディレクションを商品化するプロダクトアウトの姿勢には多くのメーカーの賛同が後ろ盾となり、そのエキスはメーカーの自社製品に活かすことにもなったのです。

『もめんと木』というキャンペーンは自然素材のもつ優しさをファッションからリビング・食品にまで縦軸を通した商品政策を以って、打ち出したものです。この家具は檜集成材にサドリン仕上げという樹脂含浸加工を施したもので、ナチュラルで高質なカジュアル商品になるまで、試行錯誤したものです。70年代にジーンズが市民権を得てカジュアルなライフスタイルが台頭し、週休二日制の浸透などによる明るい都市生活を表現した広告と商品連動の好例であります。

コピーライトは今年亡くなられた土屋耕一さん、デザインは小島良平さん(お二方とも当時、ライトパブリシティ)。

今観ると、この伊勢丹のマークとロゴが却って新鮮ですし、余白の間の取り方も絶妙です・・・。

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2009年11月14日 (土)

挿絵の極意例

209 E.H.SHEPARDさんhttp://www.asahi-net.or.jp/~KA3I-MZTN/shepard.htmは熊のプーさんの挿絵でお馴染みですが、他にも優れた挿絵を描かれています。

熊のプーさんの著者、A.A.MILNEhttp://www.asahi-net.or.jp/~KA3I-MZTN/clpomiln.htmの息子、クリストファー・ロビンの生活を描いたNow We Are Sixというタイトルの本にも数多くの挿絵がありますが、この一瞬を捉えたデッサンなどはイギリス的なペン画の特長がみごとに出ています。筆圧の微妙なコントロールでのみ表現が可能な線の太さが生きているような空間を描写しています。

風邪でもひいて、咳き込んでいる一瞬ですが、枕といい上掛けといい上等な寝具であることさえ読み取れるのは,達人技であります・・・。

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2009年11月 7日 (土)

こんな世界に思わず引き込まれてしまう・・・。

Rimg23353 新製品にドキドキするのはAPPLE社かダイソン社にまかせるとして、ほっとしたり、微笑んでしまう類のものは、どうしてもヴィンテージ系の雑貨に軍配があがります。

一時のアメリカン・スーべニールの人気も、国家の栄枯盛衰とかかわりあるのか・・・、最近はぱっとしないようで、それに代り人気沸騰なのがフランス・イギリス系の雑貨のようです。丸の内にあるLIPSETT http://world.jp/brand/lipsett/m/は村松周作さんと山口淳さんとのこだわりタッグにより、極めてマニアックながらカジュアルで今風に仕立てられたメンズファッションの牙城ですが、私には、この店内の其処彼処に展開されている小物のセレクトスタンスが、度々訪れる誘惑の源でもあります。

LIPSETTは旅をテーマに素材と機能にこだわり、もちろん、トラッド・アイビーを知り尽くした上での遊び心ふんだんな洋服は細部の処理、まとまりがご機嫌で、その上お値段もさほどでなく、洒落すぎない寸前で収めてあるスタイリングが誰もを魅了し、買わずに観ているだけでも、20世紀初頭の追憶の情景が浮んできます。

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2009年11月 5日 (木)

ちょっとしたことなのですが・・・。

Rimg23809 早朝の表参道から少し奥に入ったショップのウインドーですが、売りたい商品や見せたい商品のメッセージは何も観る側には届いてませんが、この額で思わず覗いてしむところなど、ディスプレーを担当している方のセンスに脱帽気味であります。おまけにこの額、本物ではなくどこからかコピーして貼りつけたものですから、クラシックな指向のお客には納得いかないものの、若い世代の感性には近づいているテーストがあります。

ささいなことではありますが、このようなインスタレーションもどきの小技であっても、なまじっか適当な商品を無神経に陳列されるよりは、心が和んでしまいます。それでも、この空間の中での配置にはそれなりの苦心があったようにも受け取れ、今後も同じレベルのインスタレーション風が継続されんことを願うばかりであります。

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2009年11月 3日 (火)

ひたすら整然と・・・。Missoni

Rimg23592 セレクトショップの大多数は、その店が確固たる自信をもってメッセージ発信してるところがなく、極論すれば隣のショップと同じ商品が並んでいる・・・、などの間抜けなことが多いのが現状のようです。

その点、自ら考え・作り・商うことのできるブランドは多少の差はあれ、独自性が明快なのは当たり前なのかも知れません。例えばこのMISSONI、http://www.missoni.com/ing.html

テキスタイルの世界に新機軸を打ちたて永い年月がたちましたが、往時の勢いは褪せているものの、まだまだ、素材開発にも、色彩設計にもMISSONIのテーストがしっかりと根付いています。この写真のような単純な展開でも、各々がしっかりした職人によって作られたものだけに、柔な一過性の消費に終らない、作り手の誇りが写ります。

しかしながら、ファッション界のみならず、世間の趨勢はデフレスパイラルに陥り、多くの分野で低価格・高回転ばかりが跋扈し、このままではひとつのブランドだけが勝つだけで、残りは衰退し、結局は全体が地盤沈下してしまうのも明白なようですから、MISSONIのようなプロダクトアウト系の誇り高いブランドには辛抱していただくしかなさそうなのも、哀しい話であります。

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2009年11月 2日 (月)

ブルーブラックな光景

Src_150405071 太平洋側の夕方の海は夕陽を浴びて、美しいセルリアンブルーの色がシックな暖色へと変わり、元気と健康を象徴するかのごとく、メッセージを貰うのですが、それが日本海側の夕方ともなると、一変して暗い深みのある漆黒に近い色味となって、凄みさえ覚えることがあります。北陸の海辺沿いを走る列車の窓からこの暮れ始めの海を観ながら東京に戻るときなど、同じ時間帯であっても太平洋側を走る新幹線とは全く違う印象を受けるのですから、生まれ育った環境によりその人のどこかに気付かぬ影響が深く沁みこんでいるに違いなさそうであります。

このイギリスの海辺の写真を観ていても、北陸のそれと同じような印象があって、まさに、ブルーブラックのインクそのものの色調が、堪らないLonesome Feelingを奏でています。http://www.youtube.com/watch?v=_PXNPJqj448&feature=related

http://jp.youtube.com/watch?v=EJTbDLLFMOg&feature=related

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2009年10月31日 (土)

スケルトンな魅せ方・ダイソン社の掃除機

Rimg23585 Rimg23586 Rimg23587 華やかな銀座のショーウインドーが秋冬のトレンドを並べているだけでは何の意味をも持たないご時勢ですが、華やかなファッション雑貨の陳列ウインドーの中にポツンと、まるで大学の研究室から抜け出したような博物学的展示にドキッとさせられました。この展示は地下鉄銀座線を松屋に向かう改札を出ると、左手に見えてきます。

これは、画期的な羽なし扇風機を発明したダイソン社の掃除機が解体され、美しく総ざらいされている姿です。部品ひとつひとつまでもが美しく、無駄のない姿からもこの企業の信頼性が増してしまいそうですし、たった一個の部品にまで目の行き届いたデザインとテクノロジーのリンクした姿は、現在考えられるプロダクトデザインのあるべき姿を象徴しています。

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2009年10月30日 (金)

ここは楽しい DELFONICS表参道ヒルズ

Rimg23598 Rimg14198 いわゆる「ゆるキャラクター」と呼ばれるこの国独特のほんわかしたカワイイ商品ばかりが登場する文具・ステーショナリーの世界で、1980年代の原宿にあったFLAXという質実剛健なアメリカンステーショナリーの系譜でもあるDELFONICS http://www.delfonics.com/は、若い客に混じりおじさん比率の比較的高いお店であります。渋谷パルコ・自由が丘にはSIXと、同じテーストながら微妙な品揃えの差異があって、私の好きなショップであります。

ここ表参道ヒルズにあるショップは規模が大きいだけに、商品の区分も分かりやすく、道具としてのステーショナリーに対するスタンスもあって、周辺のストリートファッションに疲れたときなど、ちょっとした駆け込み寺代わりに楽しませてもらってます。以前は、佐藤社長の文具に対する見識にかなった商品が多かったように思いますが、最近は女性スタッフの要望が増えたのか、機能的裏づけの商品が減少し、カワイイ衝動買い商品も増えてきた感があります。

それでも、此処のウインドーは楽しく、ミッドセンチュリーの雰囲気を醸しだしたオフィススペースを軽やかに表現しています。一寸前のRHODIA、MOLESKINEの揃い展開も気持ちよく、この運営の千変万化には予想を裏切る小売のしたたかさが根付いています。

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2009年10月24日 (土)

煎餅屋さん。

Rimg16643 コンビニストアでぶら下がっている「酒の友としてのつまみ」と云わんばかりのコーナーでは、乾き物の王道として煎餅の類もイカの函館焼きの隣に並んでいて、なかなか微笑ましいものでありますが、何か陳列のせせこましさがお気の毒といった感じは免れません。

それでも、たまに浅草の商店街を歩いていると、正統・本流な煎餅の店に出会うことがあり、その清祥たる姿に、身震いなど起こしそうなのであります。

このピカピカに磨きこまれた手吹きガラス瓶とアルマイトの蓋の容器を見ると、小学生の頃、吉祥寺の文房具屋の店頭に並んでいたボンナイフや蛍光色のような消しゴムが、この容器に入っていて、その色と反射からお菓子のようにも見えたことを、ふと、思いだします。

この容器には銘以外は何も書かれてなく、誰も気になる値段などは省略され、「商いのすべてはお客と店主との会話から始まる」、といわんばかりのみごとな割り切り方です。白い和紙・赤い和紙の自由な順列を見ていても、小さなことに拘らずといった、この店のゆとりさえ感じてきます。

昨今は、お客と店との会話など望まない世代が増え、世間はますます、空虚な気配が多くの街にも忍び寄っていますが、この店の煎餅たちを観ていると、浅草の街は会話と笑顔に溢れ、空虚な気配を納得いかない人々によって、支えられていることを実感いたします。

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2009年10月22日 (木)

港北IKEAのメニューボード

Rimg23097 デザインの秀逸さと安心価格、それとオープンストックの店舗空間が当たって、此処、港北IKEAは毎日賑わっているようです。この日、小さな抽斗を見にきたのですが、先ずは腹ごしらえとばかり、レストランに向かいました。夕方のタイミングがあたり、日頃の満員状況は避けられ、ガランとしたレストランはまるで、工場の社員食堂のような雰囲気がありました。

そこで、このメニューボードに感心したのであります。巷にある数多くの飲食店にはスペースからして、この巨大なボードを期待するわけにもいかないでしょうが、それでも、分かりやすさ、見やすさの点からグッドデザインでありましょう。おそらく、ランチ時間に混雑し、行列しながらメニューを決めるにも簡単ですし、グラフィック的にも無駄のない処理がされています。

先日、近場のファミリーレストランで席に座ると巨大なメニューがあり、その間抜けなほどのでかさに笑ってしまったばかりでしたから、IKEAは実に新鮮に見えたのかも知れません・・・。

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