2011年10月13日 (木)

Rugged Country

Kristofferson 華やかな全身ラメだらけのコスチュームをダサイといえる時代がやって来た1970年代前半のカントリーミュージック界は、男臭さを前面に出したアメリカンミュージックのシンガーが登場しましたが、私は、Kris Kristoffersonの渋さにノックアウトされました。彼は、ナッシュビルを中心とした懐メロ歌手ばかりが人気あるカントリーの世界とは違い、テキサス中心のアウトローカントリーと呼ばれたジャンルの旗頭であり、曲のテーマも近隣の話ばかりだった世界に、生き方のテーマをストレートにぶつけました。

今も彼の力強いメッセージとぞくぞくするような歌いっぷりに、若いフアンが増えているそうで、たしかにパワーをいただくという点ではKINGであります。多くの歌手とのコラボも多く、又、作曲家・映画俳優として稀有な才能を十二分に発揮し、名曲はいつもYou YTubeから聴くことができ、とりわけ、冬の時季には身にしみるような男の哀しさが伝わります。http://www.youtube.com/watch?v=W8ZkkKfg_Rw

http://www.youtube.com/watch?v=N_LkezUKS40&feature=fvst http://www.youtube.com/watch?v=_RLiuPRMJy8 http://www.youtube.com/watch?v=0zGGzsiA1dA

クリス・クリストファーソン 1936年6月22日生まれ

空軍将軍の息子。ポモナ・カレッジで作曲を学び、ローズ奨学金を得てオックスフォード大学に学ぶ。卒業後は空軍に入り、西ドイツで四年半をヘリコプター・パイロットとして従軍。除隊後にナッシュビルに移り、下積み生活をしながらカントリー&ウェスタンのシンガー・ソングライターとして活動を始める。70年始めから多くのヒット曲を生み出し、カントリー&ウェスタンの大御所として活躍。映画の方は71年の「ラストムービー」でデビューし、音楽も担当。特にペキンパー作品での渋い演技で高い評価を受けた。最近では「ブレイド」、「ペイバック」と脇役ながら印象的な役を演じている。73年に「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」で共演したリタ・クーリッジと再婚して一児をもうけたが、アルコール依存が原因で80年に離婚。83年に再再婚して現在は5人の父となった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年2月28日 (月)

THE GENTLEMEN at Rocky Top

2

31

年を重ねる毎に、音楽の嗜好も変化し、ハードでドライブのかかったブルーグラスにも縁遠いこととなってしばらくなりますが、26日の夜は、高校演劇部の後輩である双津さんが、40年来のブルーグラス友達である、須貝重太さん・本間正敏さんらとThe Gentlemenというその名のとおり、ご本家・Country Gentlemen  http://www.youtube.com/watch?v=bJ5W_xzz65U のそっくりさんバンドを演奏するということで、出かけました。

場所は銀座のRocky Topですからギンギンのアメリカン料理のオンパレードということもあって、食事を避けたいこともあり、開演一時間前に『よし田』の暖簾を潜り、焼酎蕎麦割り・卵焼き・鰊の棒煮・若鶏竜田揚げ・コロッケ(鳥しんじょ)蕎麦というヘルシー豪華な宴会を高校の同級生、大河原啓右さん夫妻・演劇部の大女優であった浮田まりさんらと開きました。蕎麦屋ながらちょっとした小料理が素晴らしいこの店は、平日の夜とはうってかわり静かですから、銀座の大店の風情と余韻も堪能できました。

7時半に開演、先ずはThe Gentlemenの前に若手のHoney Cookiesが演奏。http://sunnyvillage.lolipop.jp/honeycookies/

1

レトロながらモダンなアレンジのスイングする演奏は優しい時代を求める気分と重なって、又、これから始まる超絶・高速演奏に息も出来なくなりそうな観客のために、程よく心を休めてくれます。

いよいよ、The Gentlemenの登場。一曲目からいきなり暴走する本間さんのフラットマンドリンのスピードと、今尚、驚くほどのハイテナーに店内も唖然と爆笑が合体し、一曲終るごとに、バンドの皆さんは疲れきった指・腕のストレッチに励むのであります。バンジョー・バリトンの双津さん、ギター・リードヴォーカルの須貝さん、ベースの手島さんという凄腕職人集団ですから、ハイスピードであってもリズム・メロディにためらい遅れや間違いもなく、その姿を観ているだけで聴く方も緊張してしまいます。

日頃、忘れかけていたブルーグラスのスリリングな醍醐味を堪能して、少々呑みすぎたこともあり、年甲斐もなくハイな気分となって帰路に着いたのです。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2011年2月22日 (火)

チャーリーさんとロニーさん。

Rimg34609 1960年代から70年代初期、日本の学生を虜にした、ブルーグラスバンド『カントリージェントルメン』http://www.youtube.com/watch?v=xjQRzH-S_JM&playnext=1&list=PL8A075489F75719EEのリーダー、チャーリー・ウォーラーさんhttp://www.charliewaller.net/とロニー・ディノさんhttp://www.ronniereno.com/video.phpの1990年代のデュオがYou Tubeから聴こえてくるとは嬉しいではありませんか。それも1970年代のロックの名曲「Teach Your Children」なのですから。http://www.youtube.com/watch?v=1ifTfRvNFlg

この曲はクロスビースティル&ナッシュで大ヒットしたのですが、排他的だったブルーグラス界にあって他ジャンルの曲を積極的に採り入れたチャーリーさんの歌いっぷりは、映像と共に懐かしさがてんこ盛りであります。チャーリーさんとロニーさんという職人同士のデュエットは数多く誕生した兄弟デュオとは違うものの、渋さの中に少しの超絶技術を忍ばせて、聴こえるだけでもマニアには堪らないのであります。この映像はロニーさんのOLD TIME MUSIC SHOWという番組の一連ですが、音質の秀逸さが半端でなく、弦楽器の繊細な音を拾い、ギター・マンドリンのリズム教則としても極めて上等なものです。

ところで、日本でチャーリーさんの歌いっぷりを自分のものに昇華した須貝重太さん達が、60年代のカントリージェントルマンのそっくりさんを洒落で演奏するライブが26日の土曜日に銀座・ロッキートップでありますよ。名人芸が楽しめるライブですから、久しぶりに懐かしいカントリージェントルマンの空想世界に酔いしれては如何ですか。

Rimg210532

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年1月27日 (木)

温かくて剛毅なTom T Hall

Tomt_gfb

Country MusicというよりもAmerican Musicと呼んだ方がどれほど相応しいか・・・。Tom T Hallさんはシンガーソングライターとして、「分かりやすくて心に沁みいる」音楽を数多く発表しています。難しいコンセプトなど無視し、ひたすら美しいメロディラインとシンプルな歌詞に徹した姿勢は音楽職人の鑑でもありますし、他の仕事に携わる皆さんのお手本でもあります。

日本の音楽番組は常にヒットチャート至上主義で企画のかけらもない番組ばかりですからTomさんの音楽など掛かりようがありません。それでも、ピーター・バラカンさんの企画が冴えるインターFM「バラカンモーニング」http://www.interfm.co.jp/barakan/にでも登場しないかと、鶴首しています。この番組は良質な音楽を既成の概念を越え、ピーターバラカンさんの独自の視点で捉えた選曲が愉しみです。これまでも、多くのブルーグラスやカントリー系の音楽が彼のお目にかなっています。

Tom T Hallさんの名曲から。http://www.youtube.com/watch?v=d1svVMFwaOw http://www.youtube.com/watch?v=s4s3bT-Gk6I&feature=fvst http://www.youtube.com/watch?v=Wr4y2_BqHYg 

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2011年1月 9日 (日)

Don Williamsは渋くて洒落ている。

Tn_donwilliams1 他の音楽ジャンルや芸術と同様、カントリーミュージックの世界には、ポップス指向の歌い手が多いのも当然ながら、自分の表現を突き詰め、ぶれることなく一本調子のごとく歌い続けている歌手も少なからず存在しています。

このDon Williamsさんなどは、売れ筋音楽も得意でありながら、その渋く枯れた歌声で男の哀愁を歌わせれば堪らない寂寥感を表します。その声にしびれてしまった世代を超えたフアンは多く、私もそのうちの一人であります。アイルランドの名バンド・チーフタンズhttp://www.youtube.com/watch?v=Vtp4adNTP0Y との競演による秀作もありますが、私はDonさんのソロを極上なものとして聴いていますhttp://www.youtube.com/watch?v=4zE8Z5yuRNE  http://www.youtube.com/watch?v=26kqgyMjyKM 。歳を重ねる毎に魅力が増し、渋さに洗練さも加味された男の歌う表現には、閉塞感にまみれた都市の虚無な空気を一掃するほどの力が漲っていて、正に、祖父母の時代から使われてきたカーペットのように、光沢と経年変化が程よく混ざった声なのです。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2010年12月24日 (金)

Willie Nelson・これもクリスマスソング

Willie_nelson12

今ではビング・クロスビーの「ホワイトクリスマス」http://www.youtube.com/watch?v=GJSUT8Inl14 が聴こえてくることはめっきり少なくなったものの、子供の頃はこの曲ばかりが何処でも流れていて、吉祥寺のダイア街などでは、年末のせわしない街の雰囲気に似合わないスローなテンポが何ともユーモラスでさえありました。今では、CD一枚500円程度で駅中ショップで買えますが、誰も買っていかないようであります。

ところで、クリスマスソングといっても隠れた名曲もあって、さしずめ、Willie NelsonのPretty Ribbon http://www.youtube.com/watch?v=3pVndbiNs-A などその代表でしょうか・・・。その鼻に抜ける声に極端な好き嫌いが多いのですが、この曲ではその声が却って魅力となって届きます。Willie Nelsonはカントリーミュージックのギタープレィヤーとして苦労したあと、アウトロー・カントリーというジャンルを確立し、テキサスのオースティンを本拠地に国民歌手として活躍してます。愛用のひび割れたガットギターからむせび泣くようなサウンドが紡ぎだされると、もう、Willie Nelsonの世界に引き込まれています。http://www.youtube.com/watch?v=H7vaYOIKWYY

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月12日 (日)

Buck Owenshは切れ味のある生ビールのようだった。

Buckowens1

1960年代に突如として、カントリーミュージック界に旋風を起こしたBuck Owens and His Buckaroosは、西海岸の乾いた音と陽気なリズムで、それまでの東南部を中心とした生活系のテーマが売りのヒルビリー出身者を一掃してしまったパワーがありました。私も10代後半から20代のはじめでしたから当然、レコードを買い漁り、初めての日本公演では裏ルートを駆使し、かなりのベストポイントで観ることができました。

今からしてみれば大音量のステージでなかったものの、中学時代に母と一緒に初めて観たマーティ・ロビンス、ロイ・エイカフなどのカントリーとはまったく違う演奏スタイルとメリハリの効いたビートとコーラス、そしてドン・リッチさんの切れ味鋭いエレキサウンドなどなど、まさに冷えた生ビールのようにスキッとした切れ味に浸っていました。しかし、長きに亘りレコードを聴いているうち、彼等のワンパターンが気になりだし、そのうち自然と聴くこともなくなりました。

友人たちとの宴の始まりは「まあ、とりあえずビール・・・」という枕詞が決まりなように、この時代は何をさておき、「まあ、とりあえず、バック・オーエンズの曲を・・・」という決まりが、カントリーの世界だったのです。

今はレコードも売り払い、青春の記憶としてお得な二枚組CDがあるものの、長く聴いてなかったのですが、先日ラジカセで聴いてみるとこれが意外と新鮮に感じ、彼の歌手以上にギタリストとしての職人芸を再認識したところです。

1963年の大ヒット曲は、ビートルズも歌っています。http://www.youtube.com/watch?v=-oBZu_bJp9c http://www.youtube.com/watch?v=fOpgL4mqEis

映像の上目遣いがとても気になりますが、1966年、この曲も大ヒットしました。http://www.youtube.com/watch?v=g1Ygm9bvjUE

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 5日 (日)

Ella & Louis

D0166476_11513546

Louis_armstrong_nywts

生涯付き合うことになる程、好きな音楽を見出せた方々も多かろうと思いますが、紆余曲折の多い人生の中、好きな音楽のあったことでどれだけ落ち込むことなく救われたか分かりませんね・・・。

私はフォークに始まり、一旦アメリカン・ルーツミュージックに還り、ブルーグラスミュージックという特殊にして特定な音楽に両足どころか両手まで浸かって以来、50年近い歳月が経ちました。ブルーグラス界にしても若い世代の台頭、他分野からの参画など、アメリカ東南部のバナキュラーな世界からインターナショナルに広がっていますが、若い頃のメロディラインの刷り込みがあまりに深いため、今もって、懐メロ指向から脱却出来ずにいます。

それでも、様々な音楽の中で飛びっきりの玉手箱を開けてしまったのが、このElla FitzgeraldとLouis Armstrongの共演によるジャズの世界です。今から25年前に偶然FMから聴こえてきた二人のデュエット、トランペット、アドリブなど、人間の五感をフル稼動した天衣無縫・天真爛漫世界を聴き、それ以来、とくに秋から冬にかけての木枯し荒ぶるこの時季となると、ほぼ毎日聴いています。

商業的にも大成功を収めた両巨星の音楽は、実に自然なクリエィティヴィティー尽くしであり、この国の音楽業界とは一線を画するものの、想像力・創造性は天性のものとはいえ、20世紀最高アーティストであることは間違いのない事実であります。

Rimg33219

先ずはご両人から。http://www.youtube.com/watch?v=io0uqrp9dco http://www.youtube.com/watch?v=ma91kie8G3A

Ellaさんの3曲です。http://www.youtube.com/watch?v=97p6gQnlO5Y http://www.youtube.com/watch?v=hRyDB4RWJdw http://www.youtube.com/watch?v=PlMWW4R1ZBM

Louis Armstrongの三曲です。二曲目はJohnny Cashとの共演です。http://www.youtube.com/watch?v=8IJzYAda1wA http://www.youtube.com/watch?v=wqc209-rwNI  http://www.youtube.com/watch?v=4Un7dWYDxOI

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月27日 (土)

Ralph Stanley と Dwight Yoakam

Jubl__000108b_15901

Dwight_yoakam_300dpi1

Ralph Stanley http://www.youtube.com/watch?v=2xmRWj7gJEU とDwight Yoakam  http://www.youtube.com/watch?v=oLprAUar11U の声の質はまったく真逆で、あえて云うならRalphは古木のようであり日本の木遣のようにも聴こえ、Dwightは硬い金属のようなニュアンスですが、この二人が一緒にコラボレーションして歌いだすと、物凄い振動のうねりが始まって、空前絶後としかいいようのないハーモニーを紡ぎます。

1980年代から90年代にかけて、Ralph Stanleyはカントリーミュージック界に金字塔を打ち立てた名盤を遺してくれましたが、私はDwight Yoakamとのデュエットが最高であると信じています。http://www.youtube.com/watch?v=CLRgCnCLtfY

二人とも保守本流の牙城であるカントリーミュージック界で他ジャンルのシンガー・プレーヤーとの他流試合を果たしながら、後ろ向き主義者の多い中、新しい息吹を吹き込んでいて、その姿勢は、安泰・停滞している分野を一点突破・全面展開していこうとするすべての世界に当てはまる参考例です。

You Tubeではドワイト・ヨーカムとの演奏でカール・ジャクソンのフラットマンドリン、マーク・オコーナーのヴァイオリンともに、アドリブ満載のスリリングで美しい旋律が魅了します。http://www.youtube.com/watch?v=9RKrdSfelCs また、絶頂期のキース・ホィットリーとのデュエットでは、これぞブルーグラスといえるハーモニー、バンジョープレーのパワー全開、ヴァイオリンの泥臭さが火を噴き、見ていても筋肉痛になりそうです。http://www.youtube.com/watch?v=4adxe5N6Ato 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月26日 (金)

Chinese Bluegrass

Chinese_bluegrass

好奇心の広がりなど求めることを忘れ、ひたすら懐旧の記憶を留めることに躍起になっている間に、世の中の進化とグローバル化によってぐっと地球が狭くなったことを痛感したのがこの映像です。http://www.youtube.com/watch?v=7LALgWz0xc0

アメリカのブルーグラスグループと中国の女性伝統楽器演奏団との合奏ですが、凄まじいテクニックに卒倒しそうになりました。ブルーグラスの演奏は間を繋いでいく楽器として、ヴァイオリン・ドブロなどがありますが、さすが弦楽器演奏の宝庫である中国はペルシャから伝わる楽器も、潔いほど切れ味よくシンコペーションしています。すでにRedgrassとも呼ばれているほどですから、この狭い特殊音楽世界にも、中国進出の加速度が止まりません。

勿論、彼女たちの伝統音楽奏法も、それはそれは美しいものです。http://www.youtube.com/watch?v=otRkLZy_sl0

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧