2009年12月22日 (火)

明るくなった 桐生・芭蕉

Rimg25314 Rimg25310 Rimg25325 Rimg25329 Rimg25331 桐生市・大川美術館http://www.kiryu.co.jp/ohkawamuseum/default.htm に出かけ、故・大川栄二館長追悼展『再考・幻の画聖たち』を観て、個人の収集ながらその独自の審美眼を貫徹した姿勢に改めて、感激しました。同行した銀座ヒロ画廊・藤井万博氏と、学芸員・小此木さんとの打合せを済ませ、久しぶりの「芭蕉」で昼食としました。此処は1937年開業、初代小池魚心氏が全て手作りされた店で、1953年に棟方志功氏に壁画を依頼したものの、小池さんと棟方志功さんとの感性の違いから小池さんは壁画を密封し、昨年、ご子息が棟方志功さんの壁画を眠りから覚まさせたことで、新聞にも大きく報じられました。

昨年の10月に訪れて以来でしたがhttp://sohske.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-1f67.html、採光を含め明るくなった店内は、以前の雰囲気のお好きな皆さんには、軽くなったと思われそうですが、却って、魚心さんの手作りの工程が見える細部は以前より格段と増えました。一人の男がとことん拘りぬいて作った執念の剛毅な空間は、明るさとの共演により、今風気配が誕生したとも観れます。

余談ですが、芭蕉の別名は馬小屋とも云われ、銀座に芭蕉の大フアンであった佐藤敦子さんが女将の、『馬小屋』という馬術に関わる皆さんのたまり場の店がありました。その店は既にありませんが、入っていたビルの跡地はアバクロンビー&フィッチとなっています。

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2009年12月20日 (日)

鉄瓶・強くて美しい!。

Rimg12104_2 所謂、『ニッポンのカタチ』などの豪華本に、必ずといってよいほど登場するのが、この鉄瓶です。

主に岩手県と山形県で作られていますが、山形県の鉄は岩手県よりも粒子が細かく、結果、造形的にも美しく、又、お茶の味も微妙な差が生じ、茶釜など茶道を中心とした分野では人気が独占状態です。方や、岩手県は量産を中心とした日用品から雑器に至るまで、幅広く商いしているのが大まかな概要でしょうか。夫々のあるべき姿の方向性の違いが、今も連綿と続き、全国の釜師の皆さんも、上手くこの二県の素材を使い分けしているのが、現状のようです。

さて、この山形の鉄瓶は力強い造形と機能的な各部分のあしらいが、独特のコントラストを生み、その様子からも活力のある生活があった時代を彷彿とさせてくれます。

不思議なもので、鉄瓶でいれたお茶は、こうも違うのか!、と驚くほどであります。鉄の成分とお茶の成分との微妙な相性がから生まれるものとはいえ、これほどの味わいに差がでてしまうと、二度と陶磁器でお茶をいれることなど、論外・・・、となってしまいます。急須でも同じことが云え、普通の雑貨屋あたりで売っている鉄の急須でも、味の違いは明瞭です。唯一、鉄に近い味わいとなるのは、やはり鉄分の多い、万古焼きか備前のような素焼きの焼き物しかないのです。

毎日お付き合いするお茶ですから、こういうものには、飛びっきりの優れたものを使うのが、当たり前になってもらいたいものです。

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2009年12月16日 (水)

弦巻の特級折衷。

Rimg24708 自転車で乗りなれた界隈でもまだまだ見落としていたり・・・と、知らない場所も数多くあるものです。

その上、偶然出くわす知らない世界が現代では考えられないスケールをもっていたりすると、佳き時代のおおらかさを回想し、思わずじっくりと観てしまうのですが、その様子は堂々としてませんと、怪しげな風に写りますからご用心を・・・。。

さて、弦巻四丁目にあるこの欝蒼とした「お屋敷」と呼ぶに相応しい邸宅のエントランスは、余裕たっぷりのスケールで道路に対し斜め動線が美しいのですが、何より唸ってしまったのがこの鉄扉の意匠です。まるでマラソンを終えた後の息づかいを表した心電図のようであります。この鉄扉の退色したテールベルト色のフラットな感覚と、朽ちたような大屋石の石垣との組合せがみごとですが、やはり昭和モダン、それも1950年代風といったパターンがあるからこそ、ややもすればクラシック過ぎるエントラス全体の収まりに新鮮な風を送ってくれています。

さらに、外から覗くだけでしたが、この邸宅はエントランスの印象とうって変わった、フィリップジョンソン風、白亜のキュービックでありました。折衷感覚の例としても、極めて特級であります。

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2009年12月 8日 (火)

うろうろと・・・神楽坂

Rimg24829_2 Rimg24837 Rimg24849 Rimg24864 Rimg24859 Rimg24855 さっと人気が引く月光仮面のようなロードレーサーの格好にも、時代の後押しがあるのか、例えば、信号待ちしていても声をかけてくれるなど、皆さんも興味をもってくれるようになりました。最近は、ウエアーの機能や着心地などにも質問されたりと、町中で浮きまくっていた銀輪疾走団の皆さんも、街のコミュニケーションに一役買っているようです。

先日、走りなれている本郷台地を下り飯田橋方面に抜けようとした途中、突然、寄道趣味が頭を持ち上げ、神楽坂を上り、脇道を周って散策三昧に終始しました。此処、神楽坂http://kagurazaka.sanpomania.com/ http://www.syoutengai-web.net/kagura/ は花柳界としての華やかな時代から日本と仏蘭西の文化が入り混じる時代となり、その洗練さも、ダークシックな店構えの多さ故からか、夕暮れのアンニュイな時間帯など他所の街では見ることのない格調の高さとモダンさがあります。ちょっと奥に入れば、和モダンな住居と花街の名残をもつ佇まいもありと、夫々のブロックが趣きの競演を奏で、この時季はその円熟に磨きがかかり、散策しているだけでも人を引寄せる魔界の誘惑をひしひしと浴びるのです。

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2009年11月22日 (日)

吉田健一・銀座徘徊

Photo写真:文芸春秋社

1966年から2年ほど銀座の山とスキーの店『秀山荘』でアルバイトをしていましたが、ある日の午後4時過ぎ、店の前のすずらん通りを、人力車ですーっと走り抜ける、ロンドン仕立てと思しきダブルのスーツを着こなした、長身の紳士がいました。

この光景を、その後も何度か見かけたのですが、そのあまりにも威風堂々とした姿に、アルバイト仲間と店の自動車を洗車しながら、見とれていました。そのお方が何方かなど知る由もなかったのですが、偶然にも、秀山荘の前で人力車を降り、そのまま他所の店にでも行かれるのかと、思っていたのですが、何と、秀山荘の額縁仕様のウインドゥを覗かれて、にこにこと微笑んでいました。その姿を観ていた店主に「あの方は、吉田茂さんの長男で吉田健一さんという小説家ですよ」と教えていただきました。

この文芸春秋社が保存している写真は、私たちが実際に目にした時代より少し遡りますが・・・、銀座の徘徊達人らしい姿を記録しています。

吉田茂を父・牧野伸顕の長女が母、という家庭に生まれ、幼くして日本・中国・イギリスという東西の、それも一流の空気を吸い、父の姿を観てその反面教師の影響か、文士として、放蕩人として、名作数知れずの名著・随筆を遺しました。その独特の自由奔放な句読点リズムの文体は、なかなかのオフビート感を伴い、真面目な文法家ならば、怒ってしまいそうでもあります。

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2009年11月19日 (木)

WA・BI・SA ヨックモックの和風菓子

Rimg24346 今では、ちょっとしたお使い物などでは全国に知られるヨックモック http://www.yokumoku.co.jp/ ですが、登場した頃はその斬新なセンスで既存の安心しきっていたメーカーをあっという間に排除するがごとく、高級志向の百貨店に浸透していきました。

今では、すっかりボリュームゾーンになった感のあるヨックモックが、何故か和風の路線を打ち出し、流行モノが気になる私も購入してみました。WA・BI・SA http://www.yokumoku.co.jp/wabisa/index.html というブランドにはサクサク系の香ほろん・カステラケーキ系の香ふわり・手だてプリンという三つのラインの和風菓子がありますが、取りあえず、色取りの美しい香ほろんを選びました。美味しい日本茶を準備していただいたものの、まぶした粉には味の深みがなく、中のクッキーの触感が単調で、和菓子の大店と真っ向勝負するにはまだまだといったところでしょうか。和三盆・黒糖・抹茶・紫芋・きな粉・苺という夫々の味に分けられた袋を開けるときれいな粉が落ちていて、せっかくの勝負どころが散々であります。試行錯誤を重ね、徹頭徹尾、風雅な姿に相応しい触感と味を望むばかりであります。

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2009年11月13日 (金)

街道の姿はこうでした。

Photo 父の友人でもあった藤本四八氏が撮影した、旧中仙道の最初の宿場・馬籠の50年前の写真です。

街道も舗装前ですから整備されてなく、江戸時代と何ら変らない様子が分かります。舗装道路に馴れきってしまった現代人ではちょこっと歩いても直ぐ、捻挫をしてしまいそうな街道の姿です。この後、しばらくすると、日帰り観光バスが頻繁に来るようになり、街道も整備されて、農業一辺倒だったこの地の住民も観光業に歩調を合わせるように、民宿経営の副業が大流行となっていきました。

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2009年11月12日 (木)

ユニクロの紙袋が思わぬセンスに・・・。

Rimg23961 家族の一人がユニクロでインナーを買い揃え、容れてくれた紙袋が玄関脇に置いてあったので、よく観ると水木しげるのキャラクターでした。パリオペラ座付近に開店した記念のものと、ユニクロ・水木しげるプロダクションとのコラボ企画によるTシャツ企画を記念したゲゲゲの鬼太郎の二点ですが、今やパリでは「水木しげるの漫画には浮世絵の影響もある・・・」などと相も変わらずの美術評論が一人歩きの様相を呈している結果なのでしょうか。

インパクトのあるこの紙袋は、今日の表参道や渋谷界隈でもけっこう目立っていて、意外にも、水木しげるの力量のなせる業か、騒然としたスクランブル交差点でも埋没することなく、しっかりとその存在力は街に光彩を放ち、なかなかのものでありました。

『怖いけれど可愛い』という二律双生をみごとにやってのけた水木しげるさんは、極限の戦争体験の中から多くのインスピレーションを霊感のように受け取り、今でもその時の様子が色彩を以って思い出すそうですから、小手先だけで乗り切っているその辺の漫画家とは、筋が違うのでありますね・・・。

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2009年11月 9日 (月)

虎屋の変遷

Rimg23986 東京ミッドタウンにある虎屋は、その企画展が売場の隣にありながら、絶妙な距離をおいていて、お互いに干渉せず、バランスがとれています。今、「とらやのしるし展」が開かれていて(本日9日まで)、とらやのシンボルである虎のモチーフから鐶虎と呼ばれるシンボルマークまでその展開がコンパクトながらきちんとした展示がなされています。また、パッケージにみられるとらやのお菓子には戦前のゴルフ最中や現在の竹皮に包まれる以前のしっかりした紙箱の羊羹など、大店らしい、現物資料の保存の素晴らしさに感心いたしました。

案外、自社商品を維持管理するところが少ない製造業の中、虎屋のこうした企業ポリシーこそが、日本の誉れの所以であり、生きた風俗史であります。

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2009年10月29日 (木)

南青山 菊屋 『瑞雲』

Photo_2 依頼された早朝の撮影が予定よりはやく終り、久しぶりに南青山界隈を徒歩で徘徊しましたが、テナント募集の張り紙が目だっていて、何となく気分も湿りがちになりそうであります。それでも、秋晴れの朝は人の気分を活き活きと蘇らせ、表参道ファッションが今やファストフードと同じ指向性ばかりめざすものの、南青山にはそれなりのプロが作りこんだファッションとプレゼンテーションが点在していて、徘徊しながらも現在の高度な感性を充電するには好都合なひとときであります。

更地も目立つ南青山を骨董通りに向かいましたが、この通りに沿った店舗にも閉鎖中の気配が濃厚でしたが、「菊屋」さんだけは、季節のメッセージをいつものように可愛らしく楚々として展開しています。ここは和菓子同好の諸氏にはお馴染みの店ですが、渋好みの菓匠、神田・神保町「ささま」よりもやや色使いの可愛らしさがあり、造形にも具象性がありますから一般にも馴染みやすい和菓子が多いと思います。入って最初に目に飛び込んだのは『瑞雲』という名のシンプルな生菓子です。瑞雲とは幸運、幸せを予兆する縁起の良い雲のことだそうですから、この美しい姿をしばし見つめ、閉塞感に充満した世相が飛んでいくよう祈願したい気持ちでありました。

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